2004 Fiscal Year Annual Research Report
大環状構造の自発開閉による分子トポロジーの制御と巨大分子のクリッピング認識
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16655052
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鍋島 達弥 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (80198374)
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Keywords | ホスト-ゲスト / 分子認識 / 金属イオン / アニオン / 銅イオン / 錯体 / 擬クラウンエーテル / 水素結合 |
Research Abstract |
大環状構造をもつホスト分子がゲストを取り込む際に、自発的に開環してゲストと相互作用し、続く自発的閉環によってその認識過程を完結する動的分子認識の新モードを実現させるために、末端にビピリジンをもつ鎖状分子で、鎖の内部に複数の尿素部位あるいはチオ尿素部位をもつホスト分子を各種合成した。化合物の同定は核磁気共鳴スペクトル、質量スペクトルおよび元素分析により行った。これらの化合物に銅(I)を作用させると、チオ尿素部位を三つもつ分子や尿素部位を三つもつ分子では1:1で錯形成して擬クラウンエーテルを生成するものの、NMRシグナルが極端にブロードニングしたり、溶液を濃縮するとゲルを生成したりして、ゲスト認識能を調べるには不適当であることがわかった。一方、尿素を一つとチオ尿素を二つもつ分子は銅(I)を1当量加えることで定量的に擬クラウンエーテルを与え、そのNMRスペクトルはシャープであった。ただし銅を過剰に加えると擬クラウンエーテルが分解し、それぞれのビピリジン部位に銅が一つずつ配位した1:2錯体となることが各種スペクトルから示唆された。1:1銅錯体は分子内で尿素部位同士が弱い水素結合をしていることがNMRの測定からわかった。また、この錯体にハロゲン化物イオンを添加するとすべてのNHプロトンが働く水素結合によってこのアニオンが捕捉されることが明らかとなり、このメタロホストがアニオンレセプターとなることがわかった。このホストは予備的検討からリン酸アニオン誘導体とも相互作用することがわかっており、現在、非常に大きな置換基をもつアニオン性ゲストを合成して自発的開環-閉環メカニズムによる分子認識が達成できるか検討中である。
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