2004 Fiscal Year Annual Research Report
大きな極性を持つ水素結合性液体の電界配向と異常複屈折に関する研究
Project/Area Number |
16655054
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
田坂 茂 静岡大学, 工学部, 教授 (10134793)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 康隆 静岡大学, 工学部, 助教授 (10240798)
杉田 篤史 静岡大学, 工学部, 助手 (20334956)
|
Keywords | 水素結合性 / 液体 / 複屈折 / アミド結合 / 表示素子 |
Research Abstract |
大きな双極子モーメントを持ち水素結合性の強い液体であれば、水素結合の連結により見かけ上高分子のように振る舞い、液体でありながら液晶的な反強誘電的性質を示す可能性があると考えられる。そこでホルムアミドのような高誘電率の液体に比較的高い直流電界を加えて複屈折の測定を行ったが、ほとんど観測できなかった。しかしながら10KHz程度の高周波を加えたところ、異常に大きな複屈折が観測された。さらにこの複屈折は、非常に大きい時定数を持っており、あたかも安定した会合構造が形成されていると考えられる。このような極性水素結合性液体では、水を含めてクラスターを作ることが知られている。このクラスターの構造と電界誘起複屈折が大きく関係している可能性がある。 今回の液体の電界誘起異常複屈折の発生メカニズム(強誘電的または反強誘電的)を解明するため、特に水素結合とクラスターと電場の関係を赤外吸収スペクトルから明らかにし、どのような応用が可能か検討した。その結果つぎことが明らかになった。 1.イオンや不純物伝導に関係のない10MHz以上の周波数でも非常に遅い応答を示す。 2.水素結合性が適度に強く、誘電率もあまり大きくない液体で顕著な複屈折が観測される。 3.赤外吸収の結果から、水素結合は電界印加により破壊されると同時に強固なものになる。 4.交流電界強度を上げると、見かけの誘電率が下がるものと上がるものがあり、下がるものに顕著に複屈折が観測される。 これらの結果から、当初の予想どおり、クラスターの破壊による光学異方性の発現である可能性が高くなった
|