2006 Fiscal Year Annual Research Report
糖代謝異常の解明とそれに基づく抗糖尿病活性化合物の合成研究
Project/Area Number |
16655070
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 行男 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 教授 (90109059)
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Keywords | 複素環合成 / 疎水的性質 / 立体障害 / ジアステレオマー |
Research Abstract |
抗糖尿病活性化合物を目指した高脂溶性2位置換AICAR誘導体合成とAICARの-リン酸化物(ZMP)の合成研究は,金属触媒を用いるカップリング反応を中心に進め,新規なアリール基置換プリン誘導体を創製してきた.この複素環合成研究はキサンテン骨格を有する新規ローダミン及びロサミン誘導体合成へと発展した.すなわちローダミンラベル剤に代わる新規二官能性蛍光ラベル剤の合成研究であり,具体的にはローダミンラベル剤で問題となる,ベンゼン環上のカルボキシ基がフェニル基とキサンテン環との間の単結合の自由回転を阻害して生じる軸性キラリティー,それに起因するジアステレオマー発生の問題を克服したロサミン骨格を有する二官能性蛍光ラベル剤を,新規に設計し,その合成についても実用的なレベルに高めること目指した.その結果,ローダミンラベル剤とロサミンラベル剤に共通する合成中間体を設定でき,従来法に比較して反応ステップ数と精製回数を大幅に減らし,簡便で高効率なルートを確立することができた.また,対象となる生体分子であるタンパク質との相互作用をモデルペプチドを用いてHPLC, NMR, CDによって検証したところ,モデルペプチドはそのα-ヘリックス構造(CD)を保持しながら,分子表面に存在する塩基性置換基との関係に明瞭な相違が見出され,それらが電子的性質(NMR)と疎水的性質(HPLC)に影響を及ぼしていることが分かった.これらの成果は,抗糖尿病活性化合物の細胞膜透過性の改善と細胞内での生体分子との相互作用解明,さらに,金属触媒を用いるカップリング反応における立体障害を克服するの分子変換手法開発に繋がるものである.
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