2004 Fiscal Year Annual Research Report
高いプロトン親和力を持つピリジル系有機顔料の黒色顔料への応用
Project/Area Number |
16655079
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
水口 仁 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90281005)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
千住 孝俊 国立大学法人横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助手 (70322097)
高橋 宏雄 東洋インキエンジニアリング(株)・エンジニアリング部
壹岐 成記 東洋インキエンジニアリング(株), エンジニアリング部, グループリーダー
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Keywords | 有機顔料 / 黒色顔料 / ピロロピロール / 結晶構造 / 電子構造 |
Research Abstract |
高いプロトン親和性を持つピリジル系有機顔料はプロトン受容型の新規な水素ガスセンサーとしての可能性ばかりでなく、黒色顔料への応用が期待される。本研究で最初に手掛けたジケトジピリジルピロロピロールの水素ガスセンサーは良好な感度を示したばかりでなく、際立ったガスの選択性を備えていることも明らかになった。有機顔料系を拡張し、ピリジン環を持つフタロシアニン、ペリレン、ペリノン、キナクリドン、インジゴ等を合成し、物性の検討を行っている。ペリレン、フタロシアニンではピロロピロールを凌ぐ特性が得られる。一方、これらのピリジン環を持つ有機顔料をペンタンジオール溶媒中、硝酸でプロトン化し、圧力反応器で約160度に加熱すると、150度あたりから急激に温度が上昇し、圧力も1.5MP程度まで上昇する。その結果、電気的に絶縁性の漆黒色の黒色顔料が析出する。この顔料は電気的に絶縁性ということで液晶カラーフィルターのブラックマトリックスや電子写真の黒色トナーの帯電補助剤として応用することが可能である。本年度は一連の上述の顔料系で黒色顔料の形成を確認し、反応のメカニズムの検討に入った。検討を進めると、意外なことに黒色顔料はピリジル系の有機顔料が存在しなくともペンタンジオールと硝酸のみで得られることが明らかになった。つまり、ペンタンジオールと硝酸をモル比で4:1程度に調整し、圧力反応器で160度に過熱すると液状物質は固体化することが明らかになった。しかし、この反応はアルコールと酸の反応であるので反応には十分な配慮が必要となる。ペンタンジオールに代わるアルコールとしてモノオール、ジオール、トリオール等を検討したが黒色の固体は形成されなかった。また、硝酸の代替品として、塩酸や硫酸でも実験を行ったが目的物は得られなかった。現在分かっていることはペンタンジオールと硝酸との組み合わせのみで黒色顔料が得られることである。黒色物の同定をNMR,IR、質量分析、元素分析等で行っているがまだ結論を得るに至っていない。
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Research Products
(7 results)