2004 Fiscal Year Annual Research Report
固相水面上単分子膜におけるずり応力場誘起配向相転移に関する研究
Project/Area Number |
16656001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
八田 英嗣 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 助手 (90238022)
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Keywords | ブリュースター角顕微鏡 / 水面上単分子膜 / 流動配向 / ずり応力場 / テクスチャー / ドメイン / 分子配向 / 配向弾性 |
Research Abstract |
本研究では低温領域(0℃〜10℃)での水面上単分子膜の形成・観察が重要な条件となる。そのため、本研究の第一段階として、下層水の温度が可変な(0℃〜50℃)ペルチエ素子を用いた温度可変ラングミュアトラフの構築を行った。このトラフが実際に製膜・観察の際に十分な温度精度で(±0.2℃)温度コントロールが可能であることを確認するために、ペンタコサジイン酸を用いて低温領域での水面上単分子膜の製膜、ならびに現有の自作ブリュースター角顕微鏡を用いたドメインのテクスチャー観察を行った。その結果、この物質の低温領域での製膜において期待されるモザイクテクスチャーが明瞭に観察されたため、構築した温度可変ラングミュアトラフは安定に動作可能であることが確認された。研究の第2段階として、固相水面上単分子膜にずり応力を印加するためのずり応力場生成装置の作製を行った。この装置はDCモーター、シャフト、O-リングベルト、ローラー、ならびに精密ラボジャッキから構成され、垂直方向でのずり応力場の生成位置が水面上で微調整可能なようにデザインされている。当初のデザインでは、水面に対するO-リングベルトの良好な併進性を得るのに時間を要したため、現在、応力場生成のためのベルトの水平・垂直位置調整が迅速に行えるように改良を加えた。このずり応力場生成装置が水面上単分子膜の再配向に有効に機能することを確認するために上記モザイクテクスチャーに対して、ずり応力場生成実験を行った。その結果、均一配向しているモザイク領域に対して、選択的なコントラスト変化が観察された。このことはずり応力場と分子配向場の間で選択的な角度依存したカップリングが生じていることを示唆している。
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