2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規グラファイト・インターカレーション化合物の合成による新高温超伝導体の創製
Project/Area Number |
16656002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小池 洋二 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70134038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 雅恒 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50211850)
足立 匡 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40333843)
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Keywords | グラファイト・インターカレーション化合物 / 超伝導 / インターカレーション / リチウム・インターカレーション / 銅酸化物 / 層状化合物 |
Research Abstract |
1.モリブデンがグラファイトの層間に挿入された新規グラファイト・インターカレーション化合物(GIC)を合成するために、まず、MoCl_5がグラファイトの層間の3枚おきに挿入されたステージ3のMoCl_5-GICを合成した。その後、これをアルゴン中に5%水素が混合されたガスによって還元し、Clの除去を試みた。350℃で6日間の処理を行い、一部還元されたが、生成されたものはMo-GICではなくて、モリブデンと炭素のアモルファスのようである。この帯磁率を測定し、超伝導の検出を試みたが、2K以上では超伝導は観測されなかった。今後、他の金属塩化物-GICについても、同様の実験を行う予定である。 2.カーボンの層間にタンタルと硫黄がサンドイッチされた層状化合物Ta_2S_2Cの電気抵抗の測定に成功した。この物質は、帯磁率の測定から超伝導の存在が示唆されていたものであるが、この粉末試料を固めて電気抵抗を測定することにより、超伝導転移を確認した。超伝導転移は8.9Kと3.6Kにあり、5Tの磁場の印加によって完全にノーマル状態になることが分かった。さらに、8.9Kは粒内の超伝導転移温度、3.6Kは粒間の超伝導転移温度と解釈できることが分かった。 3.グラファイト以外の物質でもインターカレーションを行って、新高温超伝導物質の創製を試みたが、層状銅酸化物Sr_2CuO_2Br_2にリチウムをインターカレーションすることにより新しい超伝導を発見した。このLi_<0.15>Sr_2CuO_2Br_2の超伝導転移温度は8Kとそれほど高くはないが、銅酸化物超伝導体のなかでは数少ない電子ドープ型超伝導体であり、しかも、典型的なホールドープ型超伝導体La_<2-x>Sr_xCuO_4と同じ結晶構造を取るため、ホールドープ型と電子ドープ型を単純に比較できる物質として、今後の物性研究に貢献することが期待できる。
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Research Products
(2 results)