2005 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光顕微法を用いた有機半導体薄膜結晶粒間の位相欠陥イメージング
Project/Area Number |
16656004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐崎 元 東北大学, 金属材料研究所, 講師 (60261509)
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Keywords | 有機半導体 / 薄膜結晶 / エピタキシャル成長 / 位相欠陥 / 粒界 / 蛍光顕微法 / 多結晶薄膜 / 粒構造 |
Research Abstract |
有機半導体の良質な大粒径薄膜結晶をエピタキシャル成長法で実現するための基礎研究として,薄膜結晶中の位相欠陥やドメイン構造の可視化を下記の2つの手法で試みた. 1.蛍光顕微法を用いた有機半導体薄膜中の位相欠陥の観察:平成16年度の研究で,蛍光プローブ分子と化学構造が似た有機薄膜間の相互作用により効率的な蛍光発光を得ることが困難であることが予想された.そのため,市販の蛍光試薬中でもっとも蛍光強度が強いローダミン(tetramethylrhodamine-5-isothiocyanate)をトルエン中に溶解させ,グラファイト上に蒸着した銅フタロシアニンおよびC60薄膜をその中に浸積し,薄膜表面上でのローダミンの発光挙動を全反射型蛍光顕微鏡を用いて直接観察した.その結果,溶液中で拡散しているローダミン分子からの蛍光は観察されたが,ローダミンが有機薄膜に化学吸着すると蛍光強度が低下し個々のローダミン分子が識別できないことが分かった.そのため,2.の手法での観察に移行した. 2.低速電子顕微法(LEEM)を用いた有機半導体薄膜中のドメイン構造の観察:試料が有機物であっても,薄膜試料に電子線を意図的に斜入射することで,薄膜中の2次元単位格子の向きに応じた異なるコントラストを得ることができるため,多結晶中のドメイン構造を可視化できることを明らかにした.さらに本手法を応用し,水素終端Si(111)基板表面上でのペンタセン(Pn)薄膜の成長過程をその場観察したところ,1つの孤立した樹枝状結晶粒が実は多結晶であり,エピタキシャル構造に応じた3種類のドメイン構造が規則正しく配列して構成されていることを見出した.また,この樹枝状多結晶のドメイン構造とその時間発展が,2次元単位格子の結晶学的方位に応じた成長速度の異方性と,基板表面上でのPn分子の濃度勾配によって決定されることを見出した.
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Research Products
(1 results)