2005 Fiscal Year Annual Research Report
顕微時間分光法による神経伝達物質ドーパミンの可視化技術の開発
Project/Area Number |
16656010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川上 養一 京都大学, 工学研究科, 助教授 (30214604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田 昭男 京都大学, 工学研究科, 21世紀COE非常勤研究員 (80372572)
島田 順一 京都府立医科大学, 呼吸器外科, 講師 (60315942)
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Keywords | 顕微分光 / 近接場光学 / 可視化技術 / 神経伝達物質 / 表面プラズモン反射 / バイオセンシング / 時間空間分解分光 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き表面プラズモン・全反射測定によるバイオセンシング技術を深化させ,さらに近接場プローブによる生きた細胞の脈動などの観察に成功した。得られた成果は,将来のドーパミンなど神経伝達物質の可視化技術にも貢献するものと期待される。具体的な成果は,以下の通りである。 (1)多重反射による高感度バイオセンシング技術の開発 昨年度は,二次元平板方式を考案しこれを用いた多重反射方式のセンサーを試作し,実際に試作機を用いて,牛の自己組織血清アルブミン(SAM)のセンシングに成功し,センサーがイムノアッセイシステムに役立つことを実証した。今年度は,光学理論に基づき詳細な動作解析をした結果,従来のプラズモン共鳴領域よりは全反射領域のほうが高い感度で,センシングできることを明らかにした。本成果は、2006年1月のOPTICS LETTERSおよびLaser Focus World(電子版)に掲載された。基板の形状および光学系の最適化で,10^<-7>レベルの溶質屈折率変化の測定に成功した。 (2)近接場光学測定による生きた細胞の脈動観察 生きた細胞は,擬似周期的に脈動している。この動きは,非常に微弱なため通常の光学顕微鏡では観察することが困難である。これに対して,近接場光学顕微鏡は,細胞運動に伴って生じる細胞間マトリックスの微小な屈折率変化を捉えることができるため,実際に生きた細胞に対してこの技術を適用した。その結果,ラットの褐色細胞腫細胞において,サブ秒〜秒のオーダーでの脈動現象が観測された。この成果は,2005年のBIOPHYSICAL CHEMISTRYに掲載された。今後,現在開発中のマルチファイバー技術を用いて多数の細胞において観察すれば,細胞間の情報伝達や協調現象に関して有用な知見が得られるものと期待している。
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