2004 Fiscal Year Annual Research Report
レーザーを用いた結晶核発生技術による有機・蛋白質結晶の創製
Project/Area Number |
16656011
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐々木 孝友 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50029237)
|
Keywords | 結晶育成 / レーザー / 有機非線形材料 / タンパク質 |
Research Abstract |
本研究では、高強度超短パルスレーザーを溶液に集光したときに生じる局所的な非線形現象を摂動として、有機非線形光学結晶4-dimethylamino-N-methyl-4-stilbazolium Tosylate(DAST)、および蛋白質の結晶核生成を制御し、高品質の単一結晶を得る技術の確立を目指した。 有機非線形光学結晶DASTの育成において、ナノ秒YAGレーザーを用いた時の結晶析出確率は約10%と低かったが、フェムト秒チタンサファイアレーザーを用いた場合、結晶析出確率は約25%に向上した。さらに、DAST溶液を過飽和状態にして1時間静置した後にレーザー照射したところ、結晶析出確率は約60%であり、飛躍的に向上することが分かった。溶液状態(分子クラスターサイズ)とレーザー照射は密接に関連していることを実証した。 一方、蛋白質の結晶化においては、ナノ秒レーザーの照射に対して効果が見られず、フェムト秒レーザーの照射が有効であることが分かった。数マイクロリットルの微量蛋白質溶液にレーザーを照射する必要があるため、顕微鏡下でレーザー照射できる光学系を構築した。本システムは、蛋白質の主な結晶化手法であるハンギングドロップ蒸気拡散法やシッティングドロップ蒸気拡散法に適応した。従来は結晶化に至らない低過飽和度の溶液において、フェムト秒レーザーの照射により結晶化を実現した場合、結晶の品質が向上した。特に、結晶化が困難である膜タンパク質AcrBトランスポーターはX線回折分解能が3.5Å(従来)が2.3Åとなり、大幅に結晶品質が向上した。
|
Research Products
(4 results)