2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16656014
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中山 恒義 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80002236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢久保 考介 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40200480)
島 弘幸 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40312392)
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Keywords | 量子回転子 / 量子デバイス / ナノマニピュレーション / 超知光パルス |
Research Abstract |
本年度の主な成果二点を以下に述べる。 (1)多体回転子系の相関効果と低温異常:本研究の主な目的は、ナノスケールで回転運動する双極子分子の分子配向を利用した新規な量子回転子デバイスを開発・デザインすることにある。そこで本年度は、双極子モーメントを有する固体内分子を取り上げ、複数の分子間に働く双極子相互作用が系の低温物性に与える影響を定量的に調べた。その結果、回転子間の相互作用は、温度のべきに比例する低温余剰比熱C(T)∝T^xおよび誘電応答関数の非線形性を生むことが初めて明らかとなった。さらにはこれらの低温異常が、極性不純物を含む物質一般に共通した現象であることを指摘し、それら一連の物質の比熱・誘電異常が我々の提唱する理論モデルを用いて統一的に解釈できることを示した。 (2)多体回転素子の光制御理論の構築:超短パルス光を用いて量子回転子の分極配向を制御する技術は、ナノマニピュレーション技術の一環として非常に価値の高い問題である。そこで本研究では、光パルス照射下の量子回転子のダイナミクスに関する実時間・実空間シミュレーションを行い、パルス方向への回転子の誘電分極と回転子間の相互作用との関係を定量的に調べた。その結果、量子回転運動を示す分子の相対配置がある種の対称性を有する場合、それらの分極モーメントの配向が、光パルスや偏極磁場により完全に制御できることが初めて明らかとなった。さらに、これと同様の現象が、分子膜中の量子回転子についても観測される可能性を初めて示唆した。
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Research Products
(14 results)