2004 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解フォース検出による過渡的電荷生成のイメージング
Project/Area Number |
16656017
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松本 卓也 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (50229556)
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Keywords | 走査プローブ顕微鏡 / 光励起電荷移動 / 時間分解測定 / 電界計算 / ケルビンフォース顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究テーマは、光照射による電荷生成とその後の電荷移動、再結合過程を、高い空間・時間分解能で画像化しようとするものである。本課題を実現するには、 (1)時間分解力検出 (2)絶縁体基板上における電荷画像の検出 の二つの要素技術を確立する必要がある。(1)に関しては、すでに本課題提案時点である程度の見通しが立っていた。そこで、本年度は(2)に集中して研究を進めた。 絶縁体表面の電位は、試料取り扱い時の履歴等に大きく左右されるので、一般的には規定できない。しかし、絶縁体表面の電位と表面上にある吸着物とのポテンシャル差は、表面と吸着物の仕事関数の差の現れとして、常に一定になっていると考えられる。プローブ顕微鏡を用いて、このポテンシャル差を検出するために、カンチレバー先端付近の電界分布の計算を行った。よく用いられる平行平板のモデルでは、試料-探針間の間隙よりもはるかに大きな厚みを持つ基板に電界の大部分がかかってしまうので、表面に局在した小電荷はカンチレバーに対して意味ある力を及ぼさない。しかし、現実のカンチレバーの形を考慮して有限要素法による計算を実行すると、チップ周りの表面電位がチップ直下まで大きく張り出すために、表面の小電荷でも充分大きな力をチップに及ぼし、検出が可能であることがわかった。この結果は、走査プローブ顕微鏡による電荷測定は絶縁体基板に対しても可能であることを示している。今後、この技術と(1)の時間分解力検出を組み合わせて、過渡的電荷生成のイメージングを試みる。
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