2004 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化テルル振動子を用いた革新的バイオ・ケミカルセンサの開発
Project/Area Number |
16656030
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荻 博次 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教授 (90252626)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平尾 雅彦 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (80112027)
垂水 竜一 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (30362643)
|
Keywords | 二酸化テルル / 圧電振動子 / IgG / 共振周波数 |
Research Abstract |
本研の目的は,二酸化テルル(TeO_2)や水晶結晶,および強磁性体に電磁波を当て,非接触で振動を励起・検出する振動子センサを開発し,これをバイオセンサへ適用することである.本年度においては,3つの事項を行った.第一に,二酸化テルル振動子の最適化設計である.中央に段を有する直方体型の二酸化テルル振動しを設計し,段の中央部において音響エネルギを閉じ込め,段の外側を保持することにより,振動を妨げることのない振動子形状を考案した.これにより,無線・無電極化を行ったときの音響的な接触は無くなり,高感度センサの実現に近づいたと考えられる.第二に,非接触振動電場振動法の確立である.平面コイルにより振動電場を振動子に印加して振動子を非接触で振動させ,共振周波数を連続的に測定するシステムを構築した.これによって,二酸化テルルと水晶結晶の共振周波数がどの程度のリフトオフまで測定可能かを調べた.また,両者の水中における振動特性も比較し,大気中に置いては二酸化テルルの内部摩擦が極めて小さいことが明らかとなった.ただし,振動電場を印加し続けることにより,振動子の温度が変化するために,恒温環境において測定することが現在のところ必要であると感じられる.第三は,全免疫グロブリンの80%を占めるヒトIgGの検出試験を行ったことである.IgGはプロテインAと特異な結合性を示すことが知られている.作成した振動子センサの腹部にプロテインAを固着化し,そこに吸着したヒトIgG濃度を周波数変化から検出した.IgG溶液を滴下することにより共振周波数が減少し,IgGの検出に成功したといえる.今後さらなる高感度化を行う予定である.
|