2004 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄組織のSwelling構成則と細胞自己損傷予測
Project/Area Number |
16656035
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
但野 茂 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50175444)
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Keywords | バイオメカニクス / 脊髄組織 / 白質・灰白質 / 固液混相挙動 / 自己膨潤 |
Research Abstract |
本研究の目的は、申請者らが基礎的検討を進めてきた固体相、液体相、圧電位相の相互作用によるTriphasic Theoryを発展させて、脊髄組織特有のSwelling(組織膨潤による自己圧力誘起)挙動も組み込んだ構成法則を開発し、その結果を利用して生体脊柱管内力学環境を有限要素法で推定することである。まず、Swelling挙動の実験装置を考案する。実験結果と有限変形連続体理論のTriphasicモデルにより、脊髄各組織の構成則を定式化する。次に、組織別構成則を三次元有限要素法に組み込む。これによって脊柱管内の力学応答を高精度に予測する。様々な外的負荷による応力・圧力状態と臨床データ等と照合し、本手法の妥当性と精度化を計る。以上の計画を2年間で遂行する。 2年計画の初年度である今年度は、実験装置・実験方法の開発・検討を行った。 ○Swelling挙動のための実験装置の考案:脊髄組織が外力を受けたときの液相内圧変化や浸透圧変化、また変形中における固相と液相の界面摩擦による相互作用を解明するため、様々な組織負荷試験が必要である。そのためには、液相が組織内外で自由流動可能な実験環境を実現しなければならない。本実験では、組織の外周方向変形を拘束した単軸圧縮負荷を考え、多孔質金属を用いた負荷治具で負荷中における液相の自由流動を保証する。この治具は生理食塩水の水槽内に設置した。負荷装置には微小圧縮試験機を用い、組織の変形量測定には申請のレーザー変位計を用いた。 ○脊髄組織のBiphasic実験:脊髄組織試験片には、牛脊髄の白質と灰白質を用い、実験方法の確立を計る。組織を直径5mm、厚さ2mm程度に切りだし、軸圧縮負荷した。実験項目は、圧縮負荷実験と応力緩和実験を行った。実験の雰囲気環境は、液相と同一の食塩濃度を持つ0.15M NaCl生理的食塩水で、体温環境下で行った。
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