2004 Fiscal Year Annual Research Report
原子を直視し、操り、解析する原子スケール材料力学実験法
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16656040
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
木塚 徳志 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (10234303)
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Keywords | 電子顕微鏡 / 走査トンネル顕微鏡 / 原子間力顕微鏡 / 表面 / ナノ物質 / 量子化コンダクタンス / ポイントコンタクト / 摩擦 |
Research Abstract |
高分解能透過電子顕微鏡法を基盤として、ナノ構造体を機械的に、その場で観察しながら原子スケールで変形し、その際の力を光てこ方式で検出できる装置を、これまでの装置を基にして、新たに初年度に設計・製作した。 観察対象となるナノ構造体は、原子間力顕微鏡に使用されるミクロンサイズのシリコンカンチレバーの針先端と、対向する試料保持体(シリコン等)の間に固定した。カンチレバーと試料保持体は、それぞれピエゾと第1、第2ゴニオメーターステージによってxyzの3軸方向に動かすことができるようにした。ピエゾとゴニオメーターは、それぞれピコメートルおよびナノメートルスケールの間隔の引っ張り、圧縮、剪断変形の制御に用いた。各ゴニオメーターでは、試料を1軸回りに傾斜させ、剛性研究ができるようにした。カンチレバーと試料の操作には、6軸の平進移動と2軸回転の計8つの自由度があり、3次元の変形操作ができるようにした。構造観察と記録を動的に行うために、乾式フィルムではなくTVカメラとビデオを用いた。観察像を、まず直接倍率100万倍で拡大した後、TVカメラでさらに数10倍に拡大し、最終的には数千万倍になってモニター上に現れるようにした。印加応力は光てこ方式によって測定し、カンチレバーのたわみ成分とねじれ成分を、4分割光ダイオードを用いて検出できるようにした。コンダクタンスの値は、変形最小断面部の面積の見積もりに用いる。これら計10種の信号の時系列データを、コンピューターを用いて画像観察と時間同期させて記録できるようにした。最終的には、試料操作分解能は10pm、観察空間分解能は0.1nm、応力検出最小値は10pNで記録できるようになった。本装置では、単独の高分解能透過電子顕微鏡、原子間力顕微鏡、走査トンネル顕微鏡と同じ性能を保持しながら、それらを同時に機能させ、かつ動的観察を可能にした。
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Research Products
(6 results)