2005 Fiscal Year Annual Research Report
ポリシラザンを利用したシリカ膜の創製と生体適合性の評価
Project/Area Number |
16656044
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小茂鳥 潤 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (30225586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久森 紀之 上智大学, 理工学部, 助手 (80317510)
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Keywords | 生体活性材料 / チタン合金 / 生体適合性評価 / ハイドロキシアパタイト / FTIR分析 / 人工歯根 / X線回折 / OH基 |
Research Abstract |
(1)人工歯根膜用有機-無機ハイブリッド材料の作製:無機溶媒であるポシリラザンに対して,軟質のシリコン樹脂粉末を混入させた溶液を,スピンコーターによりチタン合金の基材に被覆した.その際,両者の混合比は重量比で1:1とする.なお,必要に応じて混合比は系統的に変化させた.コーティングはスピンコーターを用いて行った.その際,回転数は2000rpmとし5mgを滴下した後20秒間回転させた.その後,湿度と温度をコントロールした環境中において,所定の時間暴露することによりシリカ膜を得た. 浸漬実験用の基材にはチタン合金を用いたが,それとは別に膜に存在するOH基をフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)で解析するために,赤外線を透過するシリコンウェにも同様な条件でコーティングした試料も準備した.これを利用して,FT-IRによる分析を行い,膜のSiへの転化状況を調査した. (2)人工体液中における浸漬試験:(1)で準備した試験片を人工体液(SBF)中に浸漬を所定の期間浸漬することにより,生体活性能を調査した.SBFは生体内とほぼ同様の組成であり,近年,生体活性能を評価するための溶液として利用されている.具体的には浸漬した試験片の表面にアパタイトが析出するか否かを詳細に調べた.浸漬期間は3,5,10および15日とし各条件について5枚の試料を浸漬した.なお,浸漬は37℃に保持されたインキュベータ内で行った.また,アパタイトの析出の有無に関しては走査型電子顕微鏡とX線回折装置により確かめた. (3)表面分析による機能発現メカニズムの解明;詳細に表面分析を行い,とくに試料の表面に存在するOH:基の量とアパタイト析出量との関係を定量的に明らかにした.表面活性機能発現メカニズムに関して検討・考察を加える.必要に応じて,(1)の作製段階にフィードバックし,組成の異なる試料も準備した。 (4)人工歯根膜の機械的性質調査:作製した膜の機械的性質が実際に歯根膜にどれくらい近い値かという点は,実用上,非常に重要な問題である.そこでナノインデンターを用いて,最表面の弾性率や硬さの調査を行った.
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