2004 Fiscal Year Annual Research Report
歯科用パウダージェットデポジション装置の開発と歯質再構築への応用
Project/Area Number |
16656048
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
厨川 常元 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90170092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 啓一 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (30178644)
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Keywords | パウダージェットデポジション / 微粒子 / エナメル質 / ハイドロキシアパタイト / 付着加工 / ビッカース硬度 / 噴射衝突 |
Research Abstract |
これまでの研究で開発されたデジタル式小型アブレイシブジェット加工(以下AJMと略記)装置を基に,歯科医師が容易に操作できるようなハンドピース形状の歯科用パウダージェットデポジション装置を試作した.この装置は小型かつ高応答性(1回の供給・混合が数ms内に完了する)であることが特長である.この装置を使用し,HA微粒子をエナメル質並びに象牙質部に噴射し,そのときの噴射条件(ノズル距離,噴射圧力,噴射時間,ノズル走査時間等)とHA厚膜の機械的性質(超微小硬度,結合強さ等)との関係を調べた.その結果,下記のことが明らかになった. 1.HA粒子は密に充填され,付着したHA粒子は原粒子と異なる形状であった. 2.HA膜とエナメル質基板との界面に隙間は見られなかった. 3.エナメル基板上へのHA膜の付着高さは5秒程度で飽和に至り,その平均膜厚は10μm程度であった.またHA膜のビッカース硬さは593.2±221.6Hvで,エナメル質のビッカース硬度(604.2±87.4Hv)との間に有意差は見られなかった(P=0.37,Mann-Whitney U-test). 4.噴射圧力が0.2,0.4,0.6MPaと上昇するにつれ,HA膜の硬度も385±137,559±143,700±108Hvと上昇した. 5.4Nの荷重でスクラッチ試験を行っても,HA膜は完全には剥離しなかった. 以上のことから,PJD法によりヒトエナメル質上にHA膜を強固に付着させることが可能であり,付着したHA膜の硬さはエナメル質と同等であることが明らかになった.来年度は,摩耗試験,人体への臨床試験を行う予定である.
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