2004 Fiscal Year Annual Research Report
表面プラズモン共鳴法による潤滑面のその場観察と超低摩擦ナノ複合材料の創製
Project/Area Number |
16656056
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池内 健 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (30026223)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 博夫 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (30160120)
|
Keywords | 潤滑 / ステアリン酸カルシウム / ステアリン酸リチウム / 摩擦試験 / 起動摩擦 / 定常摩擦 / 吸着 / 関節軟骨 |
Research Abstract |
関節軟骨の潤滑機構を再現するため,親油性材料として金属セッケン(ステアリン酸カルシウム,ステアリン酸リチウム)を用い,ポリウレタン,ニトリルラバー,高密度ポリエチレンに最大8%まで混入した後に成形して低摩擦材料を製造した。この材料では金属セッケンが油を吸着することによって膨潤して表面に露出し,たとえ表面が摩耗しても金属セッケンがなくならないことを期待して流動パラフィン中で摩擦試験を行い,次のことを明らかにした 1.ステアリン酸カルシウムよりもステアリン酸リチウムの方が摩擦を低下させる能力が高い。 2.摩擦を低下させるためには,試験前に試料を潤滑油(この場合は流動パラフィン)の中に24時間以上浸漬させておく必要がある。 3.母材に金属セッケンを含有させることによって,一定時間静止後の起動摩擦が低下するが,定常摩擦はほとんど変わらない。 4.ポリウレタンとニトリルラバーの場合には,金属セッケンの混入率が高いほど起動摩擦の減少率が高い。一方,ポリエチレンでは金属セッケンを多量に混入すると起動摩擦,定常摩擦が上昇する。 5.摩擦試験前,浸漬後及び摩擦試験後の試料表面を走査型電子顕微鏡で観察した結果,いずれの場合にも試料表面に金属セッケンが分布していることを確認した。ポリウレタンとニトリルゴムの場合には金属セッケンは均一に分布していたが,ポリエチレンの場合には粒状に集まる傾向があり,これが表面あらさと摩擦の増加する原因であると推定される。 6.荷重が増加すると金属セッケンの効果が少ない。これは金属セッケンが油を吸着する能力に限界があるためと思われるので,今後は高分子オイルゲル化剤や脂肪酸アマイドなど,より油との反応性の高い材料を用いることを試みる予定である。
|