2004 Fiscal Year Annual Research Report
エンドサイトーシスによる物質輸送のマルチスケール解析
Project/Area Number |
16656061
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 周 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (30272371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崎山 幸紀 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (20345086)
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Keywords | 脂質二分子膜 / リポソーム / ドラッグテリバリーシステム / 膜モデル / 膜融合 / ジャイアントベシクル / マイクロ流体 / マルチスケール解析 |
Research Abstract |
本年度は脂質2分子膜を介した物質輸送に関連して,分子動力学(MD)法および粗視化手法の一つである散逸粒子動力学(DPD)法を用いた解析を行なった. 分子動力学法による分子透過の解析から以下の結果を得た. ・O_2のような非極性透過分子やCOやNOのような極性の小さな透過分子は,脂質膜内で安定に存在する一方で,脂質-水界面にエネルギー障壁がある.また,炭化水素鎖の長さが変化すると,障壁位置がシフトする. ・水分子に対しては,膜内に高い自由エネルギー障壁が存在し,炭化水素鎖長さが短くなると障壁幅は狭くなる. ・水分子の拡散係数に関しては,水層の中央で最も拡散係数が大きく,バルク水に近い値を示す.脂質分子に近づくにつれて拡散係数は小さくなり,脂質/水界面付近で最も小さくなる.炭化水素長さの影響は大きくはみられない. ・得られた自由エネルギープロファイルと局所拡散係数から,水分子に対する透過係数を計算し,炭化水素鎖長さの透過現象に対する影響を見積もることができた. また,MD解析から得られた結果を用いて,分子内部に結合ポテンシャルと角度ポテンシャルを有するDPD脂質モデルの導入を行い,その妥当性を検証した.その結果,膜面垂直方向の数密度分布に関しては,DPD法における脂質分子の分布が若干広がるものの,脂質頭部のピーク位置や,水分子の分布に関してはMDとDPDでよい一致が得られた.また,膜面方向の拡散係数に関しても,MD, DPDともに実験値や他の計算例とよい一致を示した.
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