2004 Fiscal Year Annual Research Report
生体分子ナノアクチュエータを利用したナノ構造のハンドリングシステム
Project/Area Number |
16656080
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 宏明 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (20372427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野地 博行 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (00343111)
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Keywords | 生体分子モータ / マイクロ・ナノ加工 |
Research Abstract |
本研究の目的は、生体内で機械的に働く生体分子モータを半導体微細加工で製作したナノ構造と集積化して、両者が融合したナノアクチュエータを実現し、ナノ構造体のハンドリングへ応用することである。細胞内では、分子モータによって超微量の物質が運搬され、それに基づく細胞内外の情報伝達や、新たな分子の合成と分泌を実現している。本研究では、これを手本として、生体分子モータの機能を最大限に生かした生体分子モータ融合型ナノマシンの製作技術と制御法を研究した。特にナノアクチュエータとして機能する生体分子として、レールと機関車の役割を持つ2種類の分子(本研究では「微小管」と「キネシン」)からなるリニア生体分子モータを利用した。これらを、ナノ構造に組み込み、微小物体を搬送するナノマシンの原型を実現した。応用として、液中で微小構造やリポソームを運び、DNAやタンパク質の操作や分子認識を行うデバイス、環境に適した薬剤や農薬などを極微量の物質で発見するコンビナトリアル化学への展開を望んでいる。 本研究では、主に,リニア分子モータである、微小管・キネシンを用いた。ガラス基板上にPLL(ポリLリジン)を用いて、微小管を吸着させる方法を確立した。また、PDMSやパリレンと呼ばれる高分子材料で薄膜を形成し、スピンコートやフォトリソグラフィによって貫通孔をもつフィルムを作成した。このフィルム上の穴だけにPLLを注入することで、基板上へパターンニングできることを明らかにした。すなわち、このフィルムを用いて微小管の吸着領域に選択性を持たせることができることを確認した。さらに、これらの方法によって、パターンした微小管上にキネシンで修飾したマイクロ構造を搬送させることに成功した。マイクロ構造には、SOIウェハ上に被覆したレジストを電子線直接描画法や、UVレーザ直接描画法によってパターニングし、DRIEを用いてシリコン部分をエッチングし、最後に酸化層を除去することによって得られた。これらを遠心分離法によって収集し、キネシン修飾をおこなった。また、配向制御に関して、微小流路内の一方向流れを利用すれば、ある程度の向きを揃えることができることが分かってきた。これらの内容は、学会誌で公表した。
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