2005 Fiscal Year Annual Research Report
交流モータのユニバーサルセンサレス制御の可能性に関する研究
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16656087
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
野口 敏彦 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (10237828)
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Keywords | 磁束センサレストルク制御 / 誘導モータ / 永久磁石モータ / PWMキャリア / 高調波注入 / スロット高調波 / 適応フィルタ / 突極性 |
Research Abstract |
平成16年度から平成17年度にわたり,交流モータのユニバーサルセンサレス制御の可能性に関する研究を行い,以下の主たる知見や研究成果が得られた。 (1)高調波注入と磁気飽和現象を利用した交流モータの主磁束方向推定 交流モータとして誘導モータを取り上げ,供試機に対して種々の周波数,振幅の高調波電圧ベクトルを注入し,一定の励磁周波数において励磁電流を変化させながら磁気飽和による突極性の現れ方を実験的に調べた。この実験結果から,注入する高調波電圧ベクトルの周波数が150Hzよりも高い場合は主磁束方向とそれに直交する方向で高調波電流ベクトルの振幅に有意差が出ないが,150Hzより低い場合は磁気飽和のため主磁束方向の高調波電流ベクトル振幅が大きくなることを確認した。 (2)インバータ出力電流のセンサレス化 直流バスに設けた1個のシャント抵抗から得られる電流情報とインバータのスイッチングモードからインバータ出力(三相交流)電流を復元し,さらに復元した電流からPWMキャリアに相当する高調波成分を抽出する手法を考案した。抽出されたPWM高調波を利用することにより,交流モータの突極性に起因した主磁束方向とそれに直交する方向の高調波電流ベクトル振幅差を検出した。この手法に基づく主磁束方向の推定を計算機シミュレーションと実験で実施し,一定のオフセットが重畳するものの良好なリニアリティーをもって主磁束方向を推定できることを確認した。 (3)スロットリプルを利用した交流モータの速度推定とロバスト化 交流モータとして誘導モータを取り上げ,回転座標変換の原理を利用した新規な適応フィルタによりスロット高調波を抽出するとともに中心周波数を作為的にずらした2組の適応フィルタを組み合せることにより良好なS/N比で回転速度を推定する機構を考案した。さらに,推定した回転速度を利用してロバストなパラメータ同定機構を構築した。 以上の研究成果は,個々の交流モータに特有の数学モデルに異存するセンサレス化アルゴリズムではないため,交流モータの種類を問わず共通に適用することができる基本技術として位置づけされる。
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Research Products
(5 results)