2004 Fiscal Year Annual Research Report
ハイパーグラフとファジィ積分によるナレッジマネジメント・メディアの提案
Project/Area Number |
16656119
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
片井 修 京都大学, 情報学研究科, 教授 (50089124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 浩司 京都大学, 助教授 (90214600)
塩瀬 隆之 京都大学, 助手 (90332759)
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Keywords | ナレッジマネジメント / ファジィ積分 / ネットワーク分析 / 地域通貨 / ビジュアルメディア / ファジィグラフ / 概念マッチング |
Research Abstract |
知識継承を,交換主体の匿名かつ等質な相互関係を必要とする市場通貨交換に準えれば,ナレッジマネジメントが抱える問題点を端的に説明し得る.たとえば物々交換における多者間取引が二者間取引に還元されることや,コスト表示が困難なものを安易に切り捨てるなどは,知識継承を安易に矮小化した顛末である.これに対して本研究では,主体問関係を重視し,知識継承の非加法的(相乗的)効果を説明するため,交換そのものをインセンティブとして関係の重層化を図るエコマネーをアナロジーとしたナレッジマネジメント・メディアを提案する.研究立ち上げの平成16年度の成果は,以下のとおりにまとめられる. エコマネーの交換プロセスで起こる非加法的な関係構造記述にファジィ積分の一つであるショケ積分を導入し,コミュニティが知識交換的関係から知識贈与的関係へと遷移するプロセスを可視化するためのファジィネットワーク分析を行った.一般的,均衡的など相互性の階層が社会的距離の変容に相関があることを踏まえ,エコマネーの交換における互酬性の評価指標を提案した.まずエコマネーの流通履歴を基にファジィグラフを作成し,流通フローの逆向きに贈与論で言う返礼の義務が伝播する連鎖をファジィ推移的閉方でその可到達性を定義する.次に特にやりとりが積極的な社会的距離が近い関係をαカットで類別し,その評価付けに統合性測度を導入する.各αカットレベルの測度をショケ積分したものを,コミュニティ全体の互酬性測度として定義した.この成果については国際会議で報告した. また,このようなコミュニティの中で自己創出的に知識継承されるようなナレッジマネジメントの数学的フレームワーク構築に加え,主体間の相互関係を主体自身に把握可能とするビジュアルメディア研究も必要とされる.本研究では,主体間の概念マッチングを前提としたビジュアルメディアを提案し,その成果を国際会議で報告した.
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Research Products
(5 results)