2004 Fiscal Year Annual Research Report
進化ハイパーゲーム理論の創成と人間中心型制御システムの解析への応用
Project/Area Number |
16656127
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
潮 俊光 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (30184998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 達志 関西学院大学, 理工学部, 助手 (00368458)
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Keywords | 進化ゲーム / 誤認識 / 進化的安定な戦略 / レプリケータダイナミクス / 安定性 / チキンゲーム |
Research Abstract |
異なる価値観をもつ複数の集団からなるシステムに対する従来の進化ゲーム理論においては,対戦相手に無関係に戦略を取ることを前提とした,一種の非対称ゲームとして定式化されることが一般的であった.しかしならが,対戦相手の所属する集団がわかる場合には,その集団との非対称ゲームとして戦略を取る方がより自然である.しかしながら,このようにして戦略を決定する場合には,対戦相手の所属する集団を間違いなく認識できるかどうかが重要な問題となる.本研究では,対戦相手の所属する集団を誤認識することがあるという新しい仮定の下でのハイパー進化ゲームを提案した.まず,このゲームを定式化し,進化的安定な戦略という概念をこのゲーム対して拡張した.そして,このゲームに対するレプリケータダイナミクスを導出した.このレプリケータダイナミクスに対して,平衡点が進化的安定な戦略である場合には漸近安定となることを,リアプノフ関数法を用いて証明した.このような誤認識の特別な場合として,二つの集団がある別の集団に対して同じ認識をもつ場合とその双対的な場合である二つの集団がある別の集団にとっては区別できない場合を考え,このときの平衡点の持つ特徴を明らかにした.さらに,対戦相手の誤認識を考慮した2集団チキンゲームを考察した.このゲームは,2人が向かい合わせに車を走らせ,それぞれが「回避」するかそのまま「突進」するかを選択するゲームである.突進をした場合にはその勇気を賞賛されるが二人とも突進した場合には両者とも死ぬ.勇気の賞賛を得ることや死ぬことについては人によってその価値が異なる.ここでは,2種類の異なる価値を持つ集団が対戦相手の集団を誤認識するという仮定のもとでのレプリケータダイナミクスを導出し,平衡点の存在性や大域的性質を詳細に調べた.
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Research Products
(2 results)