Research Abstract |
本研究では,礫床河川の河床付着藻類繁茂動態を予測する数値解析モデルを構築した.モデルでは,付着藻類量の時間的変化を増殖,代謝,剥離効果を取り入れたロジステック型方程式で表現し,増殖,代謝に関しては,日射,水温,栄養塩フラックス等の環境要因への依存性を考慮した関数系で定式化した.藻類剥離効果については,サルテーション砂礫の河床礫への衝突の影響をして定式化した.構築されたモデルを用いて,ダム下流部の低撹乱礫床河川の付着藻類動態予測に適用したところ,実河川で見られた付着藻類量の増減を再現出来た.また,平坦河床上での付着藻類の増殖と糸状藻・非糸状藻間の種間競争を考慮に入れた数値解析モデルを開発した.開発されたモデルによって,付着藻類の増殖過程について定量的に再現できること,増殖に伴って非糸状藻から糸状藻を中心とする群落へと種の遷移が生じることを再現できることが示された. 河床礫間に網状の巣を作り,礫を固結化して生息する造網型トビケラについて,その河床固結化メカニズムに関する現地観測,実験および数値解析による検討を行った.現地観測では造網型トビケラの個体の成長率について湿潤重量調査より明らかにし,室内実験では生物量と固結強度の関係について引張,せん断強度を測定する装置を作成して計測を行った.観測,実験の結果,造網型トビケラの営巣時間が長くなるにつれて河床の固結強度が強くなることが明らかになった.これら実験的に得られた知見と個体群動態シミュレーションの結果として得られた生物量から,河床材料の固結化の影響を定量的に評価した.
|