Research Abstract |
まず,これまで代表者が現地調査に参加した災害タイプが異なるまたは複合する洪水災害例(ヨーロッパ,メコン川、ベネズエラ洪水災害等)の災害情報をもとに,降雨がもたらす異常さの要因を解析するとともに,降雨としての異常さを現す指標を強度,継続期間,広がりをベースに概念的に確立ならびに具体化をはかるとともに実際にその災害時の地上雨量計データをベースに、確立した指標から見て各災害例の降雨がどの程度異常だったかを再現期間をベースに解析した.突起すべき事項として,地点雨量の解析により,年最大1,3,7,15日降雨量が再現期間50年,100年を超える規模のものになる面積割合が,温暖化の影響というよりはエルニーニョと顕著に関連して増大すること,ところが,全休平均雨量はあまり大きな年々変動しないことを明らかにした. 平行して,降雨観測衛星TRMM登載の降水レーダーPRのみによってこれら指標の異常さの算定ならびにその算定値の精度の客観的な評価方法を確立する第一ステップとして,特に、衛星観測は時間間歇的である欠点を有するので頻度的なサンプル数が少ないため,この少なさの影響を大数の法則や中心極限定理をベースに如何に数値的に評価できるかの方法を開発し始めている.本年度はまず,地点月降雨量の母分散を,人工衛星による低頻度観測情報からいかに推定するかの手法を開発した.ベースとなる時間相関構造を軸とした確率モデルの妥当性は高観測頻度の地上気象レーダー情報を用いて検証するともに,そのモデルパラメータの推定手法も開発した.また,実際のTRMM/PR観測情報にも適用し,本手法の基本的な有効性とその発展の方向性を見出している.特に,空間相関構造の導入が次ステップの核となる.
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