2004 Fiscal Year Annual Research Report
地域通貨の発生・流通・維持メカニズムとその経済的効果に関する理論的研究
Project/Area Number |
16656152
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
赤松 隆 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助教授 (90262964)
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Keywords | 地域通貨 / 集積 / 冪乗則 / 確率的成長 / Simon model / オプション / 通貨 |
Research Abstract |
本研究は,地域通貨の発生・流通・維持に関する以下の2つの課題からなる.第1の課題は,地域通貨の成立と維持のための必要条件を明らかにする理論(数理的モデル)の構築である.第2の課題は,地域通貨が地域経済システムに対してもちうる機能とそのメカニズムを理論的に整理し,経済厚生改善特性を明らかにすることである.この目的を達成するために,平成16年度は,まず,地域通貨の実態に関するweb公開情報をもとに調査し,それをweb pageにまとめ,次に,第一の課題に関連する研究を実施した.より具体的には,まず,本研究で構築する数理モデルと関連の深い確率的ネットワーク成長モデルに関する研究の包括的レビューとそれに基づいた考察を行なった.その結果,Internet上でのfile size分布やweb pageの規模(link数)分布が冪分布/対数正規分布に従うことを説明する最近のネットワーク成長モデルの多くは,数理的に本質的な部分では,Simon modelと(ほぼ)同じ構造といえることが判った.また,冪分布と対数正規分布の各々を生成するモデルは,独立したものではなく,両者にはある関係があることを明らかにした.さらに,観測時刻のランダムネスから冪乗則を説明するモデルが,real option/optimal stopping問題と関連した構造を持つことを明らかにした.これらの考察の後,地域通貨を介した財の交換過程に関する経済主体の(不確実性下での)意思決定問題(本研究で構築する確率動学モデルの状態推移確率を決定するサブ・モデル)をオプション・モデルとして記述し,その計算法を開発した.このモデルに基づく地域通貨の流通・維持特性の詳細については,平成17年度の研究で明らかにする予定である.
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