2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16656156
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小林 一郎 熊本大学, 工学部, 教授 (40109666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 裕司 熊本大学, 工学部, 助手 (70315290)
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Keywords | 古構造学 / 創造性 / 橋梁史 / フランス / 鉄筋コンクリート橋 |
Research Abstract |
昨年度におこなった事例研究(エヌビック社のRC橋建設における基本的な設計・施工コンセプトの分析)にもとついて、本年度は方法論の確立へと研究を展開し、以下の点を古構造学の枠組みとして設定するに至った。(1)前提:過去に見られたすべての構造は考察に値する。(2)研究対象:世界初を達成しつつも、現在は用いられていない橋梁(構造)。現存しないものも含むが、アイデアのみで実現に至っていないものは除外する。(3)研究手法:設計者が発想に至るまでの具体的な行動や思考の過程を解明する(know-why型)。また、研究対象の評価に当たっては「対象となる構造物が建設された当時における価値を見出す」という視点が不可欠であることを確認した。今日的な視点ではなく、古構造学的視点から歴史を捉えることではじめて、対象構造物が完成に至るための創造性が明確になる。事例研究においては、これまでRC橋梁史の劈頭に2度のスパン記録更新をしたことが評価されるにとどまっていたエヌビック社の橋梁建設には、新旧技術の統合と組織経営という創造性を解明するに至った。以上のような視点による事例研究を蓄積することで、順調な技術の発展史とは異なる、発想の変遷史を記述することが可能となる。また、古構造学によって明らかにされる歴史は、従来の手法では捉えることが困難であった橋梁史の新たな側面を描き出すことにもつながる。今後いくつかの事例研究を重ねることで、古構造学の方法論の確立を目指す。
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