Research Abstract |
国土交通省近畿技術管理局近畿技術事務所が管理するバリアフリー比較体験コースを利用し,身体負荷を測定した.同コースは,「通行が不便な典型的なモデルコース」と「望ましいモデルコース」に分かれている.身体負荷の指標は,各モデルコースを走行中の心拍を計測した.測定個所としては,コース全体(左・右コース)のR-R間隔時間の連続測定を検討した.また,走行中の大きな問題となるものとして,スロープ勾配(5%,8%,12%コース)と段差(0cm〜3cmコース)を取り上げ,これらについても個別に測定した. その結果を以下に示す.「望ましいとされるバリアフリーのコース」の平均R-R間隔時間は,上り=614.1,下り=633.3msecであった.また,「通行が不便な個別の典型的なコース」の平均R-R間隔時間は,上り=609.5,下り=656.1msecであった.共に上りの条件時の方がR-R間隔時間が短く,心拍数の増加を示した. スロープの上り条件の平均R-R商隔時間は,5%勾配=634.1,8%勾配=641,8,12%=630.0msecであった.また,下り条件の平均R-R間隔時間は,5%勾配=674.6,8%勾配=654.1,12%=647.4msecであった.一条件当りの走行が短いため,あまりR-R間隔時間の違いがみられなかった.一番心拍数の増加を示したのは,勾配12%の上り条件時で,平均R-R間隔時間630.0msec,標準偏差54.6を示した. 段差上り条件の平均R-R間隔時間は,0cm=689.9,1cm=688.0,2cm=687.5,3cm=667.9msecであった.また,下り条件の平均R-R間隔時間は,0cm=679.5,1cm=682.0,2cm=690.9,3cm=676.8msecであった.段差高3cmのR-R間隔時間が最も短く,段差を上る時には667.9msecで最も短くなり,心拍数は増加を示した. これらより,個々のバリアによる身体負荷が定量的に示された.
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