2005 Fiscal Year Annual Research Report
身体負担からみたバリアフリー施設整備の評価に関する研究
Project/Area Number |
16656158
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
三星 昭宏 近畿大学, 理工学部, 教授 (40088414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 博巳 兵庫県立福祉のまちづくり工学研究所, 研究員 (10257967)
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Keywords | バリアフリー / 身体負荷 / 酸素摂取量 / 車いす |
Research Abstract |
本研究では,傾斜の調整が可能なトレッドミルを用い,車いす利用の走行と車いす介助者,健常者の歩行による水平移動およびスロープ移動に対する身体的な影響を運動生理学的(運動によって起こる生体の反応を学ぶ学問)見地から調査した.またその結果より勾配の変化が及ぼす身体的負担の変化の定量化を試みるとともに,それを用いた工学への応用例の提案を行った.以下に調査結果を述べる. (身体的負担の分析) ・歩行者の負担の変化は水平移動時に対して勾配の増加に伴い緩やかな直線的に増加するのに対して,車いす利用者は二次曲線的に増加することがわかった.同様に,車いす介助者に関しても車いす利用者ほどの増加量はなかったが,二次曲線的に増加した. ・車いす利用者において現行規定である勾配5%および8%は,水平時と比較するとかなり高い身体的負担度(5%:4.1倍,8%:7.5倍)になった. (調査結果を用いた工学への応用) ・車いす利用者にとって身体的負担からみた最適な勾配は,3.9%の勾配のスロープが理想的であると提案した. ・調査結果をもとに,車いす利用者,車いす介助者および歩行者が駅やターミナル等の乗り換えや移動の際に生じる身体的負担を推定することができた. ・移動に生じる負担を定量化する事により,EVやESといった移動補助施設の設置による,身体的負担低減効果の定量化や設置位置の優先順位を提案することができた. 以上のように,本論文は運動生理学から車いす利用者等がスロープに移動に生じる身体的負担の量化を行い,工学へのアプローチを試みたものである.
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