2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16656167
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川口 健一 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (40234041)
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Keywords | 折り畳み / 展開構造 / 膜構造 / 形態解析 / 開閉式 / 可変構造 / 可展面 / 宇宙構造 |
Research Abstract |
膜構造は軽量,柔軟,透光性などを主な特徴とする多機能材料であるが,実際の構造物として利用される場合,柔軟性が利用される場合は少ない。建築構造の分野において膜構造の畳み込みに関する基本的な性質に着目した研究は,今日までほとんどなされていないのが現状である。広がりを持つ膜材をどのような形に収納し,どのような手順で展開するかという研究は建設現場における作業能率に関るだけでなく,展開型の新しい膜構造や開閉型のドーム構造への応用等,従来の膜構造では考えられなかった新しい応用を引き出す可能性を持っている。 本研究では,膜の幾何学的形状に着目し,初期形状と目的形状との間に設定した畳み込みの軽量を最小化することにより,畳み込み経路と畳み込み形状を同時にかつ自動的に決定していく解析法を開発することを目的とする。 本研究は膜材料の幾何学に関する研究を基礎とするため,まず,応用数学や宇宙工学の分野における基礎研究的な調査を行う必要がある。平成16年度は,この調査研究と,膜構造の畳み込み解析に関する基礎理論の展開を行った。理論が基盤とする骨組構造の畳み込み理論は,既に,川口助教授により確立され,有効性が確かめられている。本研究ではこの畳み込み理論を膜構造に拡張している。理論展開の方針としては,まず,微分幾何学の分野における基礎的な調査,及び宇宙工学の展開構造物の分野における調査を行った。また,有限要素法の形状関数を用いた膜面の表現と歪み無し変位による大変位に関する理論的な基盤を整理した。この際,微分幾何学における可展面に関する理論との整合性をとる様にしている。これらは骨組構造の畳み込み理論と同様に,数値解析プログラムの形で利用が出来るようにする予定であり、現在その方向で研究を進めている。 平成17年度は、16年度の研究を踏まえて、既往の平坦可折条件を整理し、さらに、本研究の特徴である剛体可折条件を提案した。ついでこの剛体仮折条件の有効性を確かめるため数値解析を実行し、有効性と問題点を把握した。
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