2004 Fiscal Year Annual Research Report
自走式アクチュエータ兼用センサによる波動・振動統合型損傷同定アルゴリズムの開発
Project/Area Number |
16656170
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
古川 忠稔 名古屋大学, 工学部・環墳学研究科, 助教授 (70273597)
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Keywords | 損傷同定 / 波動伝播 / ヘルスモニタリング / 鉄骨構造 / 柱梁接合部 / 溶接接合 / 加速度応答 |
Research Abstract |
兵庫県南部地震時に被災が多数みられた鉄骨構造の柱梁接合部を対象とし,接合部周りの波動伝播性状の変化から被災レベルを評価する手法を確立するため,以下に示す研究を実施した。 (1)単一部材と柱梁接合部における波動伝播状況の変化に関する予備解析 本研究の予備解析として,梁を想定した単一鋼製部材と,同一断面で部材中央に柱材を想定した厚板を溶接した部材の両者について解析モデルを構築し,部端に衝撃加振を与えた場合の波動伝播状況の変化を確認した。その結果,モデル部材の加速度応答時刻歴波形から有意な違いを見出すことはやや難しいが,相当応力の時刻歴変化は有意な違いが見出されることが判明した。この結果は(3)の被災レベルをパラメータとした柱梁接合部実験に対して有効な知見であるとともに,波動伝播状況が解析的に確認可能であることを見出したことに意義があると考えられる。 (2)波動伝播状況を確認可能な応答加速度観測システムの構築 予備解析から,応答加速度時刻歴の性状変化から接合部状況変化を推定するためには,1kHz以上の高周波領域の時刻歴応答観測が必要であることが判明した。そこで,この高周波応答を精度良く観測する応答加速度観測システムを構築した。構築システムは本研究とは別件で実施されている木質構造システムの材料強度確認実験に適用され,その結果本研究で想定されている周波数領域にも十分な精度で観測が可能であることが検証された。 (3)被災レベルをパラメータとした柱梁接合部実験 鉄骨構造の柱梁接合部の単純なモデルとして,梁をC型鋼,柱を厚板とした接合部試験体を作成し,1)柱梁接合部溶接スポット数をパラメータとした波動伝播実験,2)接合部を加力し,溶接接合部に一部亀裂あるいは剥離が生じた場合の波動伝播実験を実施し,被災レベルと波動伝播状況の関係を実験的に確認した。本実験は現在観測結果を詳細に検証中である。
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