2005 Fiscal Year Annual Research Report
自走式アクチュエータ兼用センサによる波動・振動統合型損傷同定アルゴリズムの開発
Project/Area Number |
16656170
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
古川 忠稔 名古屋大学, 環境学研究科(工学部), 助教授 (70273597)
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Keywords | 鋼構造 / 損傷 / 同定 / ヘルスモニタリング / 振動 / 波動 |
Research Abstract |
本研究は、アクチュエータ兼用センサとしてPZT系圧電素子の使用を想定し、接合部周りに加振器兼用センサを取り付け、これらの間での振動伝達特性と波動伝播特性の変化から、損傷箇所と程度をシステマチックに探索するアルゴリズムの提案をその最終目標としている。 上記目標実現に向け、溶接接合部に異常がある場合、振動伝達特性と波動伝播特性がどのように特徴的に変化するかを実験的に明らかにするため、鉄骨構造の柱梁接合部の縮小スケール模型を制作し、この模型の溶接接合部の状況をパラメトリックに変化させつつ衝撃加振実験を実施して模型各部の加速度応答を計測し、接合部の状況が全体の振動特性や波動伝播特性に及ぼす影響を実験的に検証した。 実験結果より、損傷レベルが高くなると、損傷箇所を経由した振動エネルギーの伝達効率が低下するため、振幅レベルの変動が同大することが明らかとなった。しかし、特に損傷レベルが小さい状態での変動は顕著とは言い難く、この特性変化のみから損傷を判定することは困難を伴うことも明らかとなった。また、波動伝達特性の変化では、波動立ち上がり部はその差が若干現れるが、これ以降は進行波と重複反射波が混在して、損傷判定はきわめて難しいことも明らかとなった。なお、最適な加振力パターンの検討は、研究予算の制約から実験的に実施することは出来なかったが、解析的研究の親展と合わせて今後の重要な研究項目のひとつと考えている。 さらに解析的に波動伝播特性変化を再現する試みも実施し、その結果から実験のように対象物の数点の加速度応答波形の変化から溶接部損傷状況を推定することはかなり難しいことが裏付けられた。しかし、部材表面の応力波の面的な伝播状況は、接合部の状態変化に依存して比較的明確に変動することが確かめられたので、今後はこの応力変動を計測可能なセンサが開発されれば、本手法のような損傷同定の可能性があると考えられる。
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