2004 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者-サービス拠点間「距離」のシミュレーションによる地域ケアの可能性の検討
Project/Area Number |
16656180
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山下 哲郎 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (00239972)
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Keywords | 高齢者 / 訪問介護 / 訪問看護 / 在宅 / サービス圏域 / 生活圏域 / 建築計画 / コミュニティ・ケア |
Research Abstract |
本研究は、高齢者福祉における在宅か施設かの二者択一ではない、第3の選択肢として「サポートセンター(地域ケアサービスの拠点)」を構想し、地域ケアの成立要件を検討するものである。前提とする構想は、住居とケアサービスが一体で提供される「施設」という枠組みを解体し、施設ケアサービスを地域に開くことやその逆も想定して既存のケアサービス資源を有効活用した、施設ケアと同じ24時間の地域ケアサービスにより、高齢者が在宅で住み続けられる仕組みである。 こうした仕組みの成立には、制度や経済あるいは高齢者の心理的問題等の他、ケアサービスの提供者が移動する時間、すなわち高齢者の居住地点とケアサービスの拠点間の「(時間)距離」が問題となるので、本研究は、特にこの「距離」について、地理情報システム(GIS)を用いたシミュレーションにより、解析を試みるものである。 本年度はサービス資源の中でも特に訪問介護・看護に着目し、サービス提供圏に関する下記の研究を行った。 (1)訪問介護・看護拠点のサービス提供圏の実態について全国的な傾向を把握。 全国の訪問介護・看護拠点のうち、無作為抽出した事業所宛に郵送自記式アンケート調査を行い、サービス提供圏サイズについて、拠点所在地の人口密度、あるいは利用者数などとの関係性を軸に分析。 (2)訪問介護・看護拠点のサービス提供圏とサービス内容の関係性について考察。 訪問介護・看護拠点のサービス提供圏とサービス内容について日本の数事例を取り上げて、詳細な実態把握を行った。更に、在宅福祉先進国とされ、特に小さな地域における福祉サービスに特徴のある、デンマークの実態と比較考察を行った。 (3)全国の訪問介護・看護拠点の地域配置の現況について分析し、その問題点を明らかにする。 全国の拠点の現所在をGISで地図上にプロットし、想定のサービス提供圏を与えて地域毎の高齢者居住人口との関係性と共にシミュレーションを行うことで拠点配置の地域特性を分析、結果をふまえて数事業所にヒアリングし、どのような問題点があるかを指摘した。
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