2005 Fiscal Year Annual Research Report
心拍数から見た高齢者や障害者に配慮した住宅の出入空間の形状に関する実験的基礎研究
Project/Area Number |
16656183
|
Research Institution | Mimasaka University |
Principal Investigator |
田中 千歳 美作大学, 生活科学部, 助教授 (30346332)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 孝博 北海道大学, 大学院工学研究科工学部, 教授 (10113599)
吉尾 雅治 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (50264536)
足立 啓 和歌山大学, システム工学部, 教授 (50140249)
|
Keywords | 心拍数 / 高齢者 / 障害者 / 出入空間 / 実験 / 基礎研究 / 移動 |
Research Abstract |
本研究は、住宅実験を通して、住宅の出入り行動を一つの運動課題として捉え、さまざまな移動形態を持つ高齢者や障害者と、住宅の出入り空間のあり方について検討することが目的である。 本年度は、前年度の高齢者による実験結果を踏まえた上で、車椅子使用者(脊髄損傷)や杖歩行者等、移動形態の異なる被験者によって、住宅内外での移動の容易性と快適性についての実験的検討を行い、これらをあわせて総合評価を行った。結果は、(1)健常高齢者(独歩)における住宅の出入りにおいて、玄関前の数段の階段を利用する場合(短路小階段移動型)と、スロープを利用する場合(スロープ移動型)の遂行速度や動作、心拍数、主観的自覚運動強度等について比較すると、両者とも特に顕著な差は見られなかった。(2)しかしながら、「スロープ」のもつ「時間がかかる」というイメージ等から、健常高齢者の場合はスロープ移動型よりも短路小階段移動型を選択する声が聞かれた。(3)杖歩行者においては、短路小階段移動型とスロープ移動型の遂行速度や動作、心拍数、主観的自覚運動強度等について比較すると、両者とも特に顕著な差は見られなかったが、被験者全体としては時間を長くかけて各課題を遂行する傾向があった。(4)今後の移動の容易な住宅として、エレベーターや段差解消機が組み込まれた出入り空間が考えられるが、本実験被験者の車椅子使用若齢者の場合は、移動を容易にする機器は用いず、身体機能の残存能力が継続する限り、スロープ移動型を選択して住宅の出入をする等、日常生活の中でのリハビリ効果を期待する意見も聞かれた。(5)活動時心拍指数の結果は、個々人の総合的な身体機能を示すものであることから、その解釈には留意が必要であるが、測定に際しては被験者の不安や投薬による影響を考慮し、なるべく同一の身体状態で安静時心拍数に差異のない時間帯を選択した上で、被験者を増やし評価して行く必要がある。
|