2004 Fiscal Year Annual Research Report
双極子モーメントに着目した架橋高分子設計と該樹脂を母材とする機能性複合材の創製
Project/Area Number |
16656210
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
岸 肇 兵庫県立大学, 工学研究科, 助教授 (60347523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 惇 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (60047610)
松田 聡 兵庫県立大学, 工学研究科, 助教授 (40316047)
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Keywords | 複合材料 / マトリックス樹脂 / エポキシ樹脂 / 双極子モーメント / 極性 / 界面 / 接着 |
Research Abstract |
先進複合材料の物性を向上させるために、マトリックス樹脂(架橋高分子)に熱可塑性樹脂やエラストマー等をブレンドし、改質するアプローチは多く見られる。しかし、樹脂フォーミュレーション手法は経験によるところが大きく、有力な組成設計主導原理が必要である。樹脂分子構造の設計段階から、分子間相互作用や強化材との相互作用を変化させるパラメータを系統的に振り、複合材物性との関係を議論した研究はこれまで見られない。そこで、本研究は、分子間(界面)相互作用の支配因子となりえる分子双極子モーメントに着目した新規モデル架橋高分子を設計・合成し、樹脂特性、複合材料特性との相関を吟味し、マトリックス樹脂設計パラメータとして有効な指標を探求することを目的とする。 H16年度の研究の結果、次の知見を得た。まず、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を基本骨格とした。ここに、分子軌道法計算による双極子モーメント(DP)が異なり、かつ硬化反応時に架橋せずにぶら下がる形にて付加反応する単官能化合物を複数選択した。具体的にはグリシジルフタルイミド(DP=5.40)、メルカプトベンゾチアゾール(DP=2.33)、t-ブチルフェニルグリシジルエーテル(DP=1.68)である。次に、該スクリーニングにて選択した候補化合物を付加反応させたモデルエポキシ樹脂について架橋樹脂を調製し、樹脂物性(動的粘弾性)および被着体金属への接着性を評価した。その結果、高DP構造の導入により、せん断接着強度は1.5〜1.7倍に増加することが知られた。ガラス転移温度等から計算される接着層残留内部応力からは接着力増加を説明できず、導入した高極性構造と被着体との相互作用によると考えられる。今後、樹脂/被着体の界面解析により接着性発現メカニズムをさらに考察し、また、該樹脂のマトリックス樹脂としての基本物性を評価し、新たな複合材設計指針を探る。
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