2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16656214
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 剛久 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (20220478)
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Keywords | チタン酸ストロンチウム / 双結晶 / 二重ショットキー障壁 / 粒界 / 高分解能観察 / 転位 / 非線形特性 / 界面準位 |
Research Abstract |
代表的電子セラミック材料である半導性チタン酸ストロンチウム(SrTiO_3)や酸化亜鉛(ZnO)は、粒界に形成された静電ポテンシャル障壁(二重ショットキー障壁)に起因した特異な電気特性を示す。この障壁は、バンドギャップ中に形成された捕獲準位に、キャリアである電子が捕獲されることにより形成されると考えられており、この捕獲準位は一般に界面準位と呼ばれている。本研究では界面準位として転位を利用し、その組織を制御することにより二重ショットキー障壁を形成させることを試みた。モデル粒界として、ドナー剤であるNbを添加したSrTiO_3およびPr-Co添加ZnO双結晶を用いた。隣接する結晶の傾角成分が小さい場合には粒界部に粒界転位が形成される。今回、傾角が2〜6°の双結晶試料を作成し、その粒界構造と粒界電気特性の相関性を調べた。いずれの粒界もバーガースベクトルを[001]とする刃状転位から構成されることが見出され、その粒界転位密度は、粒界の傾角に依存し、傾角が増大するに従い粒界転位密度が増加することが明らかとなった。また、高分解能観察からこの粒界転位配列は傾角成分が増大するとともにin-line配置から一原子面シフトした特異な配列に変化することが見出された。一方、粒界電気特性で認められる電圧-電流特性における非線形特性は、いずれの傾角粒界においても認められ、粒界転位により二重ショットキー障壁が形成されることが分かった。この非線形特性は、粒界転位密度に依存して増大することが明らかとなった。さらに、電気特性は粒界転位のバーガースベクトルにも依存することが見出された。転位のバーガースベクトルが刃状成分から構成される場合には、ねじり粒界で認められるらせん転位よりも大きな非線形特性を発現する。これらの結果から、粒界転位の構造を制御することで粒界電気特性を制御できることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)