2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16656214
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 剛久 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教授 (20220478)
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Keywords | チタン酸ストロンチウム / 粒界転位 / 高分解能電子顕微鏡法 / 2重ショットキー障壁 / 非線形特性 / 走査透過型電子顕微鏡法 / 双結晶 / 小傾角粒界 |
Research Abstract |
モデル材であるSrTiO3中に導入した転位の電気特性、ならびに、ドーパント添加実験、および、研究成果のとりまとめを行った。転位導入については2個の単結晶の回転角度(傾角)を10度以下に設定した小傾角粒界を用いた。市販のNb添加SrTiO3単結晶を用い、隣接する単結晶の傾角が6度、10度となるよう方位を規定した後に、ダイヤモンドブレードにより切断、研磨加工処理を施し、接合面の調整を行い、接合面同士を重ね合わせた後、1500℃x10hの熱処理により単結晶の接合を行った。いずれの試料も粒界部にはアモルファス層や第二層などが含まれておらず、固相状態での接合が得られていることから本研究で用いた接合条件が適切であるものと判断できた。 粒界部にはある一定の周期で配列した粒界転位が認められ、いずれの粒界においてもその基本的な原子構造に差異は認められなかった。しかしながら、各粒界転位の間隔は傾角に依存して変化し、傾角の大きな10°粒界では、6°粒界と比較し、その間隔は約2/3となっていた。また、6°粒界においては、各粒界転位の多くが同一原子面上に配列していることが確認されたが、その一部については、隣接する粒界転位がそれぞれ1原子面づつ粒界垂直方向に配列する事実が見出された。一般に、このような粒界転位は応力場を低減させるために、同一原子面上に配列するが、この粒界では互いに異なる原子面上に配列する。この配列により、粒界部には高応力が作用しているものと判断できた。この傾向は、10°粒界においてより一層顕著となり粒界転位のほぼすべてにこの傾向が確認された。一方、各粒界の電気特性はいずれも電流-電圧特性に非線形性が認められ、その非線形指数は傾角の大きな粒界においてより大きな値を示した。これは粒界転位の密度と密接に関係しているものと考えられる。
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