Research Abstract |
熱処理型アルミニウム合金である2024(Al-4%Cu)および2017(Al-40%Cu-0.5%Mg)を用い,超音波を印加しながら時効熱処理を行い,その時効硬化挙動を超音波印加・無印加で比較した.超音波としては,周波数27KHz,47KHz,100KHz,200KHZ,400KHzおよび1MKHzとし,それぞれ出力は約150Wである.時効処理温度は,2024Alでは100℃〜200℃,2017Alでは0℃〜75℃とした.時効処理は,520℃での溶体化処理後,氷水中に焼きいれ,その後所定の温度で時効処理を行い,ビッカース硬度および電気抵抗を調べた. 実験の結果,2017Al合金の場合,周波数27KHz,47KHzでは,硬度の時間変化は超音波印加の有無によらなかった.しかし,周波数100KHzでは同じ処理時間では超音波印加処理材の方が硬度が低かった.また,200KHz以上では,超音波印加処理を行った方がより短時間で硬化した.しかし,いずれも十分な時間時効処理を行うと,超音波印加の有無によらず硬度は一定値となった.同様に2024Alを用い周波数200KHzとして超音波印加時効を行った結果,温度100℃および180℃以上の場合には,超音波印加の有無により,時効硬化挙動に顕著な差が見られなかった.しかし,140℃,160℃では超音波印加によりより短時間で硬化し,超音波処理により一定の硬度に達する処理時間は,超音波無しの場合に比べ,最大1/1000に短縮された.しかし,先と同様,十分に処理時間の長い場合の最高硬度は超音波の有無によらなかった.また,電気抵抗についてはその絶対値が小さく,顕著な差が見いだされなかった.以上をまとめ,超音波処理により時効硬化が影響されること,最高硬度は超音波印加の有無によらないこと,超音波により時効が加速または抑制される処理条件があること,が明らかになった.
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