2004 Fiscal Year Annual Research Report
Reシリサイド-量子ドット・細線形成のための新しいテンプレートとしての可能性
Project/Area Number |
16656218
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
乾 晴行 京都大学, 工学研究科, 教授 (30213135)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒川 修 京都大学, 国際融合創造センター, 助教授 (90303859)
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Keywords | 量子サイズ効果 / 量子ドット・量子細線 / テンプレート / 遷移金属シリサイド / 清浄表面 / 空孔規則化 / 走査トンネル顕微鏡 / シアー構造 |
Research Abstract |
電子をド・ブロイ波長以下の領域に閉じ込めた際に出現する量子サイズ効果は,バルク結晶とは大きく異なる物性を示し,電子デバイスの飛躍的な性能向上が見込めるため,近年,量子ドットや量子細線など低次元ナノ量子構造体の作製に関する研究が盛んである.本研究では,近年,我々が発見した規則配列した大量のSi空孔を含む特異なナノ空隙構造ともいえる結晶構造を持つReシリサイドが,量子ドットの作製テンプレートとして「サイズ均一化」,「配列制御」に関する新規な技術となり得るかを検証することを目的とした.2元系およびMo,Ru添加3元系Reシリサイド単結晶は容易に作製でき,Reとの価電子数の多寡により空孔濃度の増減および空孔配列の変化を実現できる.これらはシアー欠陥構造の導入により起こっており,Mo添加材では比較的少量の添加でシアー欠陥構造が単位胞スケールで集中的に導入されたアダプティブ構造が形成される.シアー欠陥構造,アダプティブ構造いずれもインコメンシュレートな構造であるが,ナノスケールでの空孔濃度の増減および空孔配列の変化が実現できることを実証した.超高真空STM中での加熱,へき開により育成した結晶の清浄表面の作製を試みたが,加熱のみで清浄表面を得ることは非常に難しく,時間的持続性,再現性ともに満足する条件は見出せなかった.超高真空STM中でへき開試料ホルダーを用いて清浄表面の形成を試みたが,起伏の激しいステップ状表面しか得られなかった、そこで,Si(111)7x7表面およびsi(001)2x1表面へのRe蒸着により清浄表面を伴うReシリサイドの形成を試みた.Si(001)2x1表面への室温でのRe蒸着によりバルクのReシリサイドの構造と一致する構造が得られた.この構造には,1次元の溝状構造がナノスケールで周期的に入っており,量子細線のテンプレートとなり得る可能性を明らかにした.
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Research Products
(6 results)