2004 Fiscal Year Annual Research Report
転位の可逆運動による新超弾性挙動と繊維ネット超弾性合金の開発
Project/Area Number |
16656219
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
馬越 佑吉 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00029216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 弘行 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 助教授 (60294021)
永瀬 丈嗣 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50362661)
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Keywords | 超弾性 / 規則合金 / 規則ドメイン / 転位 / 変形 / FeAl / 規則構造 / 回復 |
Research Abstract |
DO_3型規則構造を有するFe-23〜25at%Al合金は、規則ドメイン構造を制御することにより、マルテンサイト変態を伴わない新たな超弾性挙動を示した。この超弾性は転位がAPBを引きずり部分転位として運動する際のAPBの張力に深く関わっていることが明らかとなった。従来の相変態に起因する超弾性は、狭い限定された温度領域においてのみ発現したが、この新たな超弾性(APB超弾性)は-50℃〜200℃の広い温度領域で観察された。しかし、この温度領域以外の高温ならびに低温では急速に回復率が低下した。高温での超弾性特性の劣化は、温度上昇によるドメイン構造などの内部組織変化ではなく、転位の交差すべり、上昇運動などの転位の動的挙動の変化に起因することが明らかとなった。一方、低温での回復率の低下は、転位の摩擦運動が上昇しAPBの張力による回復が充分に機能しないことに起因している。 このAPB超弾性に及ぼす、微細組織とりわけドメイン寸法の寄与を定量的に調べた。各種熱処理によりB2タイプおよびDO_3タイプのAPBドメイン寸法を制御したFe-Al合金の変形後の回復率を調べた。その結果、歪回復率はB2型ドメイン寸法に強く依存し、ドメインの微細化に伴って回復率は急速に改善された。変形に際し部分転位がB2型ドメイン境界を通過するとエネルギーの高い新たなAPBが形成され、そのため強い張力により部分転位が引き戻され超弾性が発現することが明らかになった。 Fe-Al合金の超弾性特性への添加元素の寄与を明らかにするため、Co, Mn, Tiを添加し超弾性特性を調べた。Mh添加では超弾性特性は殆ど変化しないが、Co, Tiの添加は超弾性を劣化させる。これらの添加元素はAPBエネルギーを増し、張力を上昇させるが転位の摩擦応力も増加させ、結果的に超弾性特性改善には繋がらなかった。
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