Research Abstract |
Ti-Pd系合金において690±5℃という低温でβTi+Ti_2Pd→Ti_3Pdで表される包析反応によって生成するA15型Ti_3Pd化合物が生成した.この化合物の電気抵抗・帯磁率を測定し,T_c=3.4K以下で超伝導を示す第2種超伝導体(上部臨界磁場H_<c1>=160 Oe,下部臨界磁場H_<c2>=3,700 Oe)であることを確認した.次にIV〜Va(Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,以下A元素と総称する)-貴金属(以下B元素と総称する)系合金においてA_3B化合物の探索を行なったが,Zr, V, Cr, Mo, Nb, Hf-Pd系において低温で生成可能な超伝導を示すA15型化合物の生成を確認することは出来なかった.そこでTi_3PdのTiの一部をIV〜Va元素で置換し単相化合物の形成範囲を調査した結果,ZrはTiに66.6原子%程度まで固溶し単相化合物が得られた.しかし,超伝導特性(T_c,H_<c1>,H_<c2>)に対するZrの濃度依存性は認められなかった. 本研究のもう一つの主題であるIV〜Va-貴金属系合金の平衡状態図の再検討についてはZr-Pd系合金の等原子比近傍からZr過剰領域の状態図を再調査し,拡散対法と多相平衡法により従来の状態図に記載されていない825±10℃における包析反応Zr_2Pd+ZrPd→Zr_<13>Pd_<12>および770±10℃における共析反応ZrPd→Zr_<13>Pd_<12>+Zr_9Pd_<11>の存在を明らかにした.Zr_<13>Pd_<12>化合物は本研究で新規に発見された化合物である.また,Hf-Pd系においても従来の状態図と異なる新たな不変系反応の存在を示唆する結果が得られた.
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