2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16656222
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 俊一 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (30162431)
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Keywords | レーザー冷却 / セシウム / 周波数変調 |
Research Abstract |
レーザー光が有する力学的作用を用いると、原子の運動を精度良く制御できることが知られている。本研究では特に、レーザー光ビームによって数ナノメートル以下まで原子ビームが集束できるという理論的予測に着目し、その実現のための基礎的研究をおこなった。原子の集束は光の集光と現象的に極似しており、理想的な原子の集束のためには、速度分布をできるだけ狭くする必要がある。また、原子の平均速度は大きい方が、原子の単色性が向上する。そこで、本研究では単色な原子ビームの発生を容易に行う方法として、半導体レーザーを用いた白色冷却法の開発を行った。 対象原子をセシウムとし、波長852nmの外部共振器型半導体レーザーの注入電流を直接変調することによって、周波数変調を行った。これにより、レーザー光の中心周波数を安定に保ちながら、そのスペクトル幅を自由に拡げることが可能になった。変調周波数をセシウム原子の自然幅の5MHzとすることによって、対象となる全ての原子を冷却できるようにした。冷却される原子の中心速度を精確に制御するため、波長の異なるふたつのレーザー光源を準備し、原子ビームの進行方向および逆方向からレーザー光を照射することによって、原子を挟み込むようにして原子速度を変化させた。すなわち、一方では減速、他方では加速することになる。実際にセシウムの原子ビームに対して実験を行って原子の速度分布を測定したところ、約20m/sの速度幅まで圧縮されていることが判明した。また、速度幅を保ったまま、原子の中心速度を100から300m/s程度まで自由に変化させることが出来た。原子に対する光圧力を計算することによって、速度分布のシミュレーションを行ったところ、実験結果と良く一致していることが見出された。
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