2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16656230
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
南條 弘 独立行政法人産業技術総合研究所, メンブレン化学研究ラボ, 主任研究員 (90357690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 育夫 独立行政法人産業技術総合研究所, メンブレン化学研究ラボ, 主任研究員 (80356435)
米谷 道夫 独立行政法人産業技術総合研究所, メンブレン化学研究ラボ, 主任研究員 (60358356)
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Keywords | 金属酸化膜 / 不働態皮膜 / 電気化学処理 / 紫外線 / 原子レベル / 平坦 / ステップ / テラス |
Research Abstract |
アルゴンイオンスパッター装置でシリコンウエハー上に純鉄薄膜を作製し、卑な純鉄表面に自然に形成される空気酸化膜を硼酸緩衝溶液中で電気化学的にカソード還元して完全に除去し、十分清浄な金属地金を露出させる。この前処理は不働態皮膜の形成に際して著しく優勢な核が無くなり、至るところから皮膜形成が起こり、皮膜を非晶質にすることができる。こうすると、非晶質な水酸化物が空気中において徐々に水を放ちながら結晶化すると考えられる。低電位で不働態化処理するときに溶液温度を60℃に上昇すると、室温の場合に比べて結晶性が良くなり、また低電位の場合に比べて、高電位では3倍近く広いテラスが形成できることが分かった。不働態化処理時間も重要なパラメータであり、82分を境に短い処理時間では皮膜が不安定であり、大気中に取り出した後、引き続き、空気酸化が進行する。例えば、-400mVで30分間処理した場合、空気中に取り出して200分は空気中で0.22nm/minで酸化が進行し、300分以後は0.024nm/minと、酸化はあまり進行せず、安定な構造に達した。それに対して不働態化時間82分を過ぎると、電気化学処理中に安定構造を構築できることが分かった。また、空気にさらした後の皮膜の自然電位への復帰時間を測定したところ、空気暴露時間140分を越えると急に大気暴露時間に対する復帰時間が220sec/minから2600sec/minに増加した。このことから、140分を過ぎると溶解しにくい物質γFe_2O_3などに変化したと推測される。 不働態皮膜の形成過程について、原子が格子間をホッピングすることにより皮膜成長するというモデルを構築して、皮膜の成長の特性や支配因子について解析した。初期酸化と不働態皮膜成長の理論的考察については、従来、純金属の研究に留まっていた。我々は、合金の理論的取り扱いを行うために多元系ホッピングモデルを提案し、二元合金の初期酸化と不働態皮膜成長の速度則、濃度分布の解析式を導いた。
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Research Products
(2 results)