2005 Fiscal Year Annual Research Report
有機ホスト化合物と複合化したヘテロポリ酸の固体触媒作用
Project/Area Number |
16656245
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小西 克明 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 助教授 (80234798)
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Keywords | 環境材料 / 分子認識 / 触媒・化学プロセス / 結晶材料 |
Research Abstract |
ヘテロポリ酸のもつ独特な酸触媒、酸化還元触媒活性を利用した水中で機能する固体触媒系の開発は近年の大きなトピックの1つであるが、その高い水親和性が障害になってきた。本研究では、ホストーゲスト相互作用を利用して中性有機物のひとつであるカリックスアレーンと分子レベルで複合化することにより、ヘテロポリ酸由来の水親和性を低減した非水溶性の有機/ポリ酸複合体を作製し、その固体触媒としての性能を評価することを目指した。 申請者らのこれまでの研究で、ヘテロポリ酸の対カチオンとカリックスアレーンの包接錯形成を介して、両者を分子レベルで複合化でき、さらに場合によってはポーラス構造を初めとする独特な固体高次構造をとることを明らかにしてきた。昨年度の本研究で、種々のカリックスアレーンを用いてNa_3[PM_<12>O_<40>]との3:1複合体の構造、およびその安定性を、X線結晶解析、粉末X線回折を用いて検討したところ、4つのlower rim水酸基のうち、2つにエチルエステル性官能基を導入したカリックスアレーン(C2)とNa_3[PM_<12>O_<40>]から誘導した複合体が、マイクロポーラスな結晶構造をとり、さらに極めて高い熱安定性を示すことがわかった。そこでエステル置換基であるエチル基をプロピル(C3)、ブチル(C4)、ヘキシル(C6)、ベンジル(Bn)基に変換して、得られたポリ酸との複合結晶の構造を調べたところ、C2由来の複合体と同様のポーラス構造を取ることがわかった。さらにその複合結晶の水中での安定性を調べたところ、C2由来の複合体では容易にポリ酸塩が水中に遊離してくるのに対し、C6、Bn由来の複合体は、極めて高い耐性を示した。これらの2つの複合体は同時に高い撥水性を示し水に浮遊する界面型の触媒としても期待できる。また、これらは水中からのフェノール類の取込み活性を示し、環境ホルモン類の除去材料としての利用も考えられる。
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