2004 Fiscal Year Annual Research Report
水中エステル化反応を可能とするナノ次元疎水性環境場酵素の創製
Project/Area Number |
16656246
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾中 篤 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (10144122)
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Keywords | メソポーラスシリカ / 酵素リパーゼ / 水中エステル化法 / ゾル-ゲル反応 / ^<29>Si固体NMR法 |
Research Abstract |
酵素は特有の三次元構造の元でその触媒作用を発揮する.従って,多孔質シリカのナノメートル空間内で酵素を固定化する際には,酵素が触媒作用を発揮するのに適した三次元構造を安定に保つ工夫が必要となる.そのためには,酵素の官能基と特異的に相互作用する官能基を,三次元的に配置したナノ空間を提供する多孔質シリカを用意しなければならない.本研究では,酵素リパーゼに対して,高い吸着能を示すメソ多孔体の調製を検討した. 長鎖第四級アンモニウム塩の共存下,テトラエトキシシランのゾル-ゲル反応によって,直径7〜8ナノメートルの比較的大きな細孔をもつメソポーラスシリカを調製した.続いて,種々の炭素鎖に連結した官能基をもつシランカップリング剤を用いて,シリカ細孔壁面のシラノール基の化学修飾を行った. 次に,シリカ表面に導入された炭素鎖官能基とリパーゼの持つ官能基との相互作用により,ナノ細孔内でのリパーゼの固定化,集積化を検討した.その結果,特定の官能基をもつ化学修飾メソポーラスシリカが,強固にリパーゼを収容できることを見出した.この固定化リパーゼは,水中においても,水溶液へのリパーゼの溶け出しは観測されなかった. この化学修飾メソシリカの^<29>Si固体NMR法を調べたところ,シリカ表面の有機修飾基の化学構造を明らかにすることができた.また,粉末X線回折法や窒素ガス吸着測定法によっても,細孔構造を調べた. 水中にも溶け出しにくい固定化リパーゼは,水中でのエステル化反応の良い触媒になるものと期待される.
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