2005 Fiscal Year Annual Research Report
水中エステル化反応を可能とするナノ次元疎水性環境場酵素の開発
Project/Area Number |
16656246
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾中 篤 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10144122)
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Keywords | 酵素反応 / リパーゼ / エステル化 / メソポーラスシリカ / 化学修飾 / 環境調和型化学合成 / 疎水性環境場 |
Research Abstract |
本研究では,合成の際に界面活性剤の炭素鎖長の選択や有機助剤の導入により細孔径を調節することで,細孔構造を意図的に設計できるメソポーラスシリカMCM-41に注目した.そして,その細孔表面を化学修飾することでリパーゼを担持するのに最適な三次元疎水性ナノ空間を構築できると考えた.リパーゼの分子径(3〜4nm)及び化学修飾による有機官能基の厚みを考慮して、リパーゼを担持するのに必要な空間サイズを7〜8nmと見積もった.その孔径を有するMCM-41を再現よく合成するために,MCM-41の細孔形成機構(LCT機構)を参考にして、均一な界面活性剤水溶液の製法,有機助剤の均一な導入法の確立をおこなった. 有機修飾MCM-41表面に存在する3-(メタクリロイロキシ)プロピル基の表面密度は1.2修飾基/nm^2であり,TGAによる測定結果とほぼ一致した。またシランカップリング剤の多くはMCM-41上のシラノール1個,または2個と結合していることがわかった。 本研究で合成した有機修飾MCM-41固定化リパーゼ触媒と,市販のセライト固定化リパーゼであるリパーゼPSとのエステル化活性比較をラウリン酸とオクチルアルコールを用いてまずイソオクタン中で行った.有機修飾MCM-41固定化リパーゼは,60℃という酵素としては高い温度条件下でも,リパーゼPSに比べ遥かに高いエステル化活性を示し,数時間で良好な収率を与えることがわかった.次に,水中でエステル化反応が進むことも確認した. さらに,化学修飾剤を詳細に検討することにより,脱水反応であるエステル化反応を,効率的に水中で行える三次元疎水場固定酵素触媒を開発する予定である.
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