2005 Fiscal Year Annual Research Report
構造規定されたゼオライトのミクロ細孔を分子反応場とする不斉光化学反応の制御
Project/Area Number |
16656251
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山下 弘巳 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40200688)
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Keywords | ゼオライト / 光化学 / ミクロ細孔 / 分子反応場 / 不斉合成 / メソポーラス / 光触媒 / 可視光 |
Research Abstract |
ゼオライトのミクロ細孔内に不斉環境を構築し、これを分子反応場として光化学不斉反応を行い、不均一反応でのキラル化合物の高選択的合成の実現を目指した。さらに、キラルなゼオライトを合成する試みも検討を行った。キラルな有機低分子を構造規制剤としてキラル細孔空間を設計できる可能性もあり、キラルなゼオライトの合成も可能性が伺える。それが、低キラリティーのゼオライトであっても、不斉自己増殖反応を組み合わせることでナノ空間内において高選択的に不斉化合物が合成できる可能性がり、これらの可能性の存在を追求するよう検討した。 構造規定されたゼオライトのミクロ細孔内に不斉環境を構築し、これを分子反応場として光化学不斉反応を行い、不均一反応ながらもキラル化合物の高効率高選択的な合成の実現を検討した。 アルキルエーテルの不斉光環化反応や環状オレフィンの不斉光異性化反応の制御をゼオライト細孔内において試みた。通常、液相中での光環化反応ではキラル誘導体が共存してもラセミ体しか得られない。キラル誘導体で修飾したゼオライト細孔を反応場として光環化反応を行うとキラル化合物が生成する可能性を見いだした。水酸基、アミノ基、アリル基などの官能基を有する種々のキラル誘導体の利用を試み、高い選択性の実現を目指した。さらに、キラル誘導体の水酸基、アミノ基、アリル基と反応基質(エーテル)のカルボニル基、メトキシ基との間の水素結合や細孔内でのカチオンとキラル誘導体および反応基質との静電的相互作用が反応基質の立体配置に制限を加えることで、より高度な選択性の制御を試みた。すなわち、立体規制のあるゼオライト細孔内で、カチオンを介したキラル誘導体と反応基質の強い相互作用の存在が高キラル選択性をもたらすと考えられた。
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