2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16656261
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小堀 深 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (70329093)
|
Keywords | 電気振動現象 / 人工膜 / 生体模倣 / 受容体機能 |
Research Abstract |
【目的】 生体における情報伝達は生体膜を介した電位パルスによって行われる。界面活性剤を含む水/油/水3相液膜系において電位の経時変化を測定すると、生体膜に見られる電位パルスと似た電位振動波形が得られる。この液膜系の電位振動現象を解析すれば、生体の情報伝達機構の解明や生体感覚器を模倣したセンサなどへの応用が期待できる。そこで、1-オクタノールを用いた3相液膜系の電位振動を詳細に測定し、現象のモデル化を行うことにより数値解析を試みた。 【方法】 第一水相および第二水相を蒸留水、油相を1-オクタノールとした第一水相/油相/第二水相の3相液膜系を作製し、液膜間電位差の経時変化を電圧計で測定した。一方、油水界面におけるSDSの吸着過程をバルク相における拡散と界面近傍における吸着に分け、SDSの移動をモデル化した。パラメータとして用いる吸着・脱着速度定数は、試行法によるフィッティングから決定した。溶質の影響について、NaClの濃度を100mMとした解析モデルを実測の振動波形にフィッティングし、解析した。 【結果】 実測による油水2相系における飽和界面電位より、SDS飽和吸着量を算出した。この値を代入して得たSDSの脱離による回復電位の計算結果は、実測で得られた回復電位とよい相関を得た。数値解析の試行回数と実測値の関係は、試行回数が10回でよい一致をした。また、塩濃度を100mMとした時も、実測と解析モデルで結果がよく一致した。解析モデルの検討により、NaCl添加がSDS脱着の阻害を引き起こすことが考えられた。 【結言】 拡散方程式、吸着速度式、電位振動モデルと実測値のフィッティングにおいて、試行回数10回の試行法により実験値をよく再現できた。このモデルを用いて、NaClが振動波形に及ぼす影響を解析できた。
|