2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16656276
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
笹木 圭子 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (30311525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平島 剛 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (00175556)
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Keywords | ヒ素 / 地下水・土壌汚染 / バイオレメディエーション |
Research Abstract |
地下水・土壌の原位置処理であるバリア処理のモデルとして、PRBカラムを作成し、ヒ素に汚染された実際の地下水を用いて、実際の地下水流速に近い条件にて、5ヶ月間連続通水実験を行った。バリア内容物として、鉄粉、木屑、コンポストリーフ、小石、シリカ砂を混合し、空隙率30-35%のカラムを作成した。試薬を溶かしてヒ素濃度をあらかじめ高濃度に上げて、効果を検出しやすくしたところ、ヒ素は一定の期間一定効率でバリア内に不動化されることがわかった。一般的な地下水流速、採水地における最大ヒ素濃度、バリア厚さ100センチメートルと仮定した場合、このバリアは約30年の寿命を持つことが推定された。不動化のメカニズムは鉄との相互作用、たとえば、スコロダイトのようなヒ素を含む鉱物の析出、バリア内容物表面への吸着などが考えられるが、カラム内容物に対するヒ素の固定量が小さすぎで、X線光電子分光法でヒ素の化学状態に関する情報を得るには十分な量ではなかったため、直接証拠となるデータが得られていない。また、硫酸還元菌のような嫌気性菌がヒ素の不動化に寄与することを予測したが、今回のカラム実験では、小石からの溶出物が水質のアルカリ度を上げ、硫酸還元菌の活性を低減させる方向へ作用した。しかし、人為的に硫酸還元菌を接種しない条件のものとはヒ素除去量に2倍近くの差が生じたため、化学反応が飽和したあとも微生物反応が持続しているものと推定される。そのほか、この通水実験では同時にリン酸イオンの除去に効果が認められた。カラムからの微量の溶出物質のなかには、環境基準をわずかに超えるものがあり、カラム内容物の選定に関しては今後の検討課題として残された。
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Research Products
(8 results)