2005 Fiscal Year Annual Research Report
ドリフト電場を動的に制御する新しい積分型ドリフト検出器の基礎研究
Project/Area Number |
16656288
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中沢 正治 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00010976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 浩之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (70216753)
藤田 薫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特任助手 (60401147)
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Keywords | ドリフト電場 / 比例計数管 / MSGC / 電場計算 / X線検出器 / 放射線イメージング |
Research Abstract |
本年度は、比例計数管内部の空間電場を制御し、実際に空間中に電子を蓄積し読み出すシステムを構築し、本手法の有効性について検討した。まず、電子を蓄積し、移動させるために必要なドリフト電場についての詳細な計算を3次元電場計算コードELFINを用いて実施した。この結果空間電場を用いて電子を閉じ込めることは十分可能であると考えられる。次に、昨年度に購入したプログラマブル電源と、メッシュ電極により生成した、電荷蓄積、ドリフト電場制御電極、ならびに放射線入射位置読み出し用電子回路からなる評価システムを構築した。しかし、本システム内にα線源を導入し、電荷蓄積の後、読み出しを行うという方式で位置検出を試みたものの、有意な位置情報を得るには至らなかった。この原因としてはドリフト電場の制御には電子拡散を抑えるために、高電圧を用いる必要があり、このドリフト電場の変化に伴う電荷注入が信号レベルに比べて支配的になったためと考えられる。そこで、比例計数管で一旦電荷を増幅した後に電荷積分を行うようにアプローチを変え、新たな方法を考案した。本手法では、マイクロストリップガス検出器による増幅部分と、そこに隣接した電荷積分用のパッドからなり、このパッドと読み出し回路であるカソード部分には信号読み出し用の光導電性抵抗体が配置された構造とする。一定時間電荷蓄積を行った後、この光導電性抵抗体に光スポットを照射することで、照射した位置を読み出すことができる。また、本原理における電荷積分型の比例計数管の特性について放射光実験を行ったところ、従来の比例計数管の限界を超える10^10cps/mm^2程度まで動作することが分かり、新たなX線画像検出器として有望な手法であるということが示された。
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