2005 Fiscal Year Annual Research Report
常温イオン性液体を用いた乾式再処理系における熱力学的及び反応モデル構築研究
Project/Area Number |
16656289
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
原田 雅幸 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助手 (20156516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 泰久 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授 (40323836)
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Keywords | イオン性液体 / ウラニル / 疎水性 / 錯体 |
Research Abstract |
前年度の成果として、疎水性イオン性液体はウラニルの塩を良く溶解し、過塩素酸ウラニルを溶解した場合、十分に脱水することにより、ウラニルイオンは酸素以外の配位子を持たないイオンとして完全溶解していることが示唆された。この際使用したイオン性液体は疎水性の1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムノナフルオロブタンスルホネート(BMINFO)であった。対イオンであるノナフルオロブタンスルホネート(NFO)は配位性があることが報告されていることからウラニル錯体の合成を試みたところ、分光学的知見とX線単結晶解析の結果からウラニルNFO錯体は存在することが明らかとなった。しかしながら、この錯体をイオン性液体に溶解した可視・紫外スペクトルは脱水することで得られたウラニルのスペクトルとは異なっていた。すなわちウラニルイオンを溶解し、十分脱水した場合、ウラニルイオンは配位子としてオキソ酸素以外を持たないイオン種として溶解していることが強く示唆された。一方、乾式再処理に使用されるウラニルイオン種は塩素化物であるため、イオン性液体への溶解性を検討した。1-メチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートと1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロライドとの混合系で、ウラニル塩素化物錯体が溶解することを明らかとし、その溶液のサイクリックボルタグラムは可逆的な酸化還元反応であるとする結果を得た。このことはイオン性液体中においても乾式再処理系と同等なマトリックスを作ることができることが可能となり、イオン性液体中において乾式再処理に関する基礎的な反応挙動を研究することが可能であることを示唆した。
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